60:魔界の王都に到着!
フォン・ダン・ショコラを引き連れ、魔界の森をルンタタタンと闊歩する。
――――パシィィィン。
時々鞭を鳴らしながら。
BGMは魔獣たちの歌声。
「「ワフゥ……バフッ」」
「何言ってるかわからないわよ。これは歌声なの!」
オニオンボムをくらってのたうち回ってる豹みたいな魔獣が、とても良い声で歌ってるじゃない!
「「ワホォゥ……」」
道中は基本的に安全に過ごせた。
魔獣が飛び出て来るけれど、フォン・ダン・ショコラが前に出て咆えると、すぐに後退りする。ケルベロスって魔獣の中で結構地位が高いのかもしれない。
「よし着いた! 懐かしの壁!」
魔界の王都をぐるりと囲む城壁。
町全体を取り囲んでいるけど『城壁』って言うらしい。不思議なの。
「お? ミネルヴァじゃん。変な格好してんな。どっか出掛けてたのか? この数日、長期閉店の看板が出てたから心配してたんだぜ。理由も何も書かれてないし…………あと、相変わらず臭えな」
トカゲな門兵のラモンさんが、怪訝そうな声で話しかけてきた。
表情は良くわからない、というか私には判別がつかない。トカゲ顔だから。
「淑女に臭い言うな。ラモンさんのご飯半分にするよ?」
「おまっ! そういう攻撃はやめろよぉ。てか、店は再開するんだな?」
「するよー。数日後になるかもだけど。はい、通行料」
またねと手を振りながら城壁内に入った。
一度家に帰り着替えようと思ったのに、ドアが開かない。
「いや、なんでよ。あ……鍵か…………チッ、クソ魔王め」
仕方ないので着替えはしないまま高速移動馬車に乗り、魔王城へ向かうことにした。
さてさて、勝負はここから。
魔王城の前に立ち、城門兵さんの前にも仁王立ち。
「あんた…………魔王様の」
「お? 話が早い! よし、中に入れて!」
「え……いや、たぶん、駄目だよな?」
以前も会った事ある気がするライオン頭の門兵さんが声をかけてくれた。何か察してくれたし、たぶん同じ人。ライオン頭の見分けがつかないけども。
しれっと中に入ろうとしたけど、駄目っぽい。他の門兵さんともしょもしょ話している。
「んじゃ、ヒヨルドでいいから呼び出して!」
「魔具庁の長官を呼び捨てするとは……」
黒ウサ耳の門兵さんがムッとした顔をして剣の柄に手を伸ばそうとしていたけど、ライオンさんが間に入ってくれた。
「待て待て、ヒヨルド長官を呼ぶから! ちょっと待て」
「ありがとう!」
魔王呼び出しは流石に無理だった。
取り敢えず、ヒヨルドから攻め落とそう!
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