49:美味しい理由?
おじいちゃん、魔王、店内にいた二人のお客さんにもおにぎりを試食してもらった。
概ね好評。
改良点は、海苔が噛み切りづらい。
それを改良するの簡単だから大丈夫。剣山的なもので細かな穴を開けておけば、歯切れがよくなる。コンビニとかもそういう工夫がされている、って前世で見たから。
「このおにぎり、サンドイッチみたいに持ち運んで外で食えそうじゃのぉ」
「おっ! 流石おじいちゃん! 正解っ!」
おにぎりといえばお弁当だよね。
前世のお弁当って冷えていても美味しいと思えてたのはなんでだろう?
「愛情とかいう不確定要素ではない気がするけど」
「「……」」
冷えたお弁当の話をしていたら、魔王もおじいちゃんもドン引きだった。そこは愛情でいいだろうって言うけど、絶対に違うと思うんだよね。
味付けかなぁ?
お弁当に入れるおかずってある程度定番化してたしなぁ。
「おかわり」
「おにぎりでいいの? あと、お金取るよ?」
「ん。味は普通だが、なんか、美味い」
魔王の好きなものって結構おこちゃま系だなぁと思いつつ、またおにぎりを握って渡した。
「ところで、本当にここに住むのよね?」
「…………今ソレを言うか?」
ベッドの中でくっついて、ちょっとイチャッとしていたらふと思った。だから、聞いてみたんだけど。どうやら魔王的に駄目だったらしい。
「いやね、ベッド狭いなって」
「ん。確かに」
セミダブルくらいのサイズではあるけど、魔王って結構背が高いから、なんか圧迫感があるのよね。
今度の休みに買おう。ついでに二人分の食器とかコップとかも揃えようかなぁ。
「魔王は?」
「…………ウィル」
「はいはい。ウィルはお仕事でしょ?」
「………………毎週水星を休みにする」
まぁ、魔王がそれでいいならそれでいいけど。魔王城的には大丈夫なのかな?
ちらりと魔王を見つつ聞くと、スッと目を逸らされた。分かりやすすぎない? 明らかにあんまり良くないって顔だよね?
「俺がいなくても回る。会議は………………出てやらなくもない」
「てか、魔王ってなに? なにをしてる人なの?」
「魔王」
――――そらわかるがな!
魔王の仕事って何よ? 人間界の征服とか? 魔族の頂点に立って魔族を率いてなんか物凄い魔獣とかを倒すとか?
「物語の読み過ぎだ」
物語の登場人物みたいな役職の人に言われたくないなぁ。
「ルヴィは、なんだか人間たちとも考え方がズレている気がする。いったいどんな生活を送ってきたんだ?」
「えー? 普通よ、普通。それより、魔王が毎日何してるのか、教えてよ!」
「ん――――」
魔王から聞く、日々の魔王。
ちょっと面白い寝物語として、わくわくしながら聞いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます