17:絶対にいるもの。
かき氷に必要なもの、それは『氷みつ』。
何が何でも必要なもの。
「なので、今から作ります!」
「「わっふぅー」」
フォン・ダン・ショコラの尻尾がブンブンと振られている。私がご機嫌なのが伝わってるみたい。
先ずは帰り道に買ってきた果物たちの下処理。下処理と言っても、表面を洗ったり、ヘタを取ったりだけど。
先ずは手間の掛かるオレンジとレモンから。
それぞれ半分に切って果肉をしっかりと搾っておく。
残った皮は一度沸騰するまで茹で、お湯を入れ替える。沸騰したら弱火にして三〇分茹でる。
作り方は一緒だから同時進行ができて楽。
「わあぁぁ、いい匂いが充満してるねぇ」
「「ワフ!」」
「さて、その間に……」
荒く切った苺を鍋に入れ、これでもかと砂糖を入れ、変色防止にレモン汁。あとはグツグツと煮込むだけ。ほぼジャムの作り方と一緒だけど、コレは煮汁をしっかりと残しておくことが大事。
コンロが三つとも埋まってしまったので、しばらくはメロンとモモを切る作業。基本的に一センチ程度の賽の目切りにした。
そうこうしている内に三〇分が経ったので、オレンジとレモンの皮を湯切りして少し冷ます。
「ぁぁぁああ、もぉ、暑い!」
「「わふぅー」」
フォン・ダン・ショコラはしれっと店の出入り口で涼んでいる。羨ましいなぁ。
少し冷めたオレンジとレモンの皮を、それぞれこれでもかと小さくみじん切り。先に搾っていた果汁と合わせて、砂糖を入れる。オレンジにはレモン汁も入れ、またもや煮込む。
苺は火から下ろし、粗熱取りのために放置。
今度は桃を煮込む。
「んー、エスプーマとかもほしいわよね?」
「「わふふー?」」
貯蔵庫にクリームチーズとかなかったかなぁと探しに行くと、どーん買いだめされていた。さすが私!
エスプーマとは言ったものの手作りでの配合とか専用の機械は流石にないので、クリームチーズホイップにする。
クリームチーズをなめらかになるまで練り、生クリームに砂糖を入れて緩々に泡立て、クリームチーズと混ぜる。
とてつもなく簡単!
桃を火から下ろし、今度はメロン。
今日一日、何やってんだろってくらいに煮詰めてばっかりだ。
出来たものをちょこちょこ味見しては「うまーい!」と叫び倒して満足だけども。
「あっれー? 今日は休みだよな?」
「むあっ! ヒヨルド! いいとこに!」
「ゲッ!?」
お店の出入り口を開けて作業していたので、通りがかりの人がちょいちょい覗き込んで来てはいた。「新しいデザート作ってるの、出来たら食べてねぇ」と地味な宣伝活動もしていたんだけど。
白いウサ耳少年がドアからひょっこり顔を出したので、捕まえた。
むははははは! 超ラッキー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます