第3話 みそ汁と日記と
次のお家も一軒屋、萌ゆる桜の葉っぱ達のような緑の二階建てのお家は、
「日記って何書いたらいいのかな?」
ある理由から、今日から日記を書くぞと張り切っていたさくらちゃんでしたが、まだ起きて朝ごはんを食べたばかりなのでこれと言って書くことがありません。お母さんのおみそ汁の具でも書けば良いのでしょうか。でもなんだか、すがすがしい五月始めにつける日記の第一歩としては、普通過ぎてミソっぽくて、可愛さも美しさもない気がします。ほうれん草とお豆腐のみそ汁かけご飯を三杯もお代わりしたのも忘れて、結局みそ汁のお話は却下されました。
勉強机のすぐ前にある窓の外を気晴らしに眺めたさくらちゃんの大きな瞳に、タンポポのわた毛が映りました。青空の中を飛ぶ白い種子は、雲の一切れが降りてきてこんにちはをしてくれたみたいです。
さくらちゃんの日記の最初の文章が決まりました。
「きょうから日っきをかくことにします。タンポポのわたげが、まどの外をとおって、かわいかったです。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます