第5話 転入と大宮 桜

 春菜と登校した朝はとても楽しかった。初めて外の世界を見た感想はただただすごいとしか言いようがなかった。

 目が見えなかった時に思っていた人の数は倍以上で、建物も高く、たくさんの車が走っている。

 思わず、また感動して涙を流してしまったぐらいだ。道行く人達になんだなんだという視線を浴びせられてめっちゃ恥ずかしかった…

 その後は遅刻して学校へ登校した。遅刻した理由は後ほど。登校した後春菜と別れ 、僕は職員室へ行き、担任の先生に目が見えるようになったこと、遅刻した理由を報告した。

 先生は喜んで涙を流していた、遅刻した理由はどうでも良いとの事だった…おいそれでいいのか先生よ…まぁそっちの方が良いのだけれど。そして僕は疑問に思っていた、自分は普通クラスか支援学級どちらに行けばいいのかと質問すると…僕は普通クラスに転入することになった。


「そうなんですね。ありがとうございます」

「大丈夫よ…ところで貴方、字…書けるの?」

「あっ!」


 そうじゃん僕、字も書けないんじゃん!どうしよ…今から学ぶか?いやいや絶対無理…一体どうすれば…


「その反応すっかり忘れてたようね…」

「はい…すいません…」

「怒ってるわけじゃないのよ…そうだわ!貴方、たしか仲のいい女子生徒居たわよね!」

「あぁ、大宮のことですか?」

「そう!大宮さんと同じクラスにしてあげるからサポートしてもらいなさい!」

「えぇ、でもそれだよ大宮に迷惑かけちゃうし…」


 目が見えるようになったからには人に迷惑をかけないと僕は決めているのだ。だから大宮にサポートをお願いするのは迷惑だと思っている…


「あら?そこら辺は大丈夫じゃないかしら。だってあの子…貴方に好意を持ってるみたいだし」


 …ん?大宮が僕に好意を持ってる?いやいやそんなはずないだろう、僕は今までに彼女に支えてもらっていたけど、そんな様子は一切感じられなかった。


「先生それってどうゆう…」

「貴方…分かってなかったのね…まぁいいわとりあえず今日から貴方は普通クラスよ、支援学級の皆には私から伝えておくわ。ってことでさっさと普通クラスの教室に行きなさい。場所は2階の右奥から2番目にあるわ。転入することは担任の先生に伝えておくから、着いたら教室の外で待ってなさい。」

「は、はぁ…分かりました。ありがとうございます。」


 先生は僕の様子に呆れたように職員室から追い出した。

(大宮が僕に好意を持ってる…うーん、なんかモヤモヤするなぁ)

 そんなことを考えながら僕は転入する予定の教室に向かうのだったのだ。




 一一方転入生が来ると聞いた教室内では一


「ねえねえ桜!先生の話聞いた!?今日、支援学級からの転入生来るらしいよ!」

「そうみたいだね!支援学級かぁー…私は1人だけ支援学級にお友達いるからその子が転入してくれると嬉しいな!」

「あー!桜がお世話してるあの目が見えない男ね!でも目が見えないやつをお世話するの大変じゃない?しかもなんか髪伸びすぎてイモくさいし…」

「…こらぁ!私のお友達を悪く言うんじゃない!そんな奴にはげんこつをお見舞いしてやる!」

「ごめんごめんごめんって!言っとくけど桜のげんこつ結構痛いんだからね!?」


 そんなやり取りをしてると、クラス中で笑いが起きる

「たしかに、桜のげんこつとか蹴り結構痛いもんな〜」

「なぬっ!?そ、そうだったのか…これからは手加減する…」

「殴るのは辞めないんだな!?」


 またクラス中で笑いが起きる、それがクラスの雰囲気を楽しくする大宮 桜だったのだ。




(うぅ、何だかクラスが騒がしい…怖くなってきたなぁ。)

 そんなことを思っている僕に絶望の声がかかる。


「はーいそれじゃあ皆さん、静かにしてください。転入生に入ってきてもらいますよー。」

「は、はい!」


 僕は緊張しながら教室に入るのだった…そして入った時の反応は…シーンとしていた。

 さっきまで騒がしかったのが嘘のように静まりかえっていた。とりあえず僕は自己紹介をする 。


「し、支援学級から転入してきました。三谷年明です。よろしくお願いします。」


 自己紹介を終えた僕には何故か女子からは恍惚な視線を、男子からは羨望の視線を向けられていた。僕はそんなことよりも

(あ、あれなんでこんな静かなんだ…?)

 などと思っていると…沈黙を破るかのように突然と…


「え…年明くん?」


 ふと1人の女子生徒が僕の名前を呼んだほうに視線を向ける。

(誰だ?あの女子生徒は…僕の名前を知ってる人なんて少ないと思ったんだけど…)


「だ、誰ですか?」

「私は今まで年明くんのお世話していた大宮 桜だよ!」

「え?君が僕のお世話をしてくれていた大宮なのか?」

「うん!そうだよ!」


 と満面の笑みで答える。

(こ、この子が!なんというか…とても元気で溢れているな。)

 彼女は全体的に元気感が溢れ出ており。髪は栗色でショートに揃えられていた。


「あらあら、三谷くんと桜さんは接点があるようね 。それじゃあ席は桜さんの隣でいいかしら?」

「は、はい。問題ありません!」


 先生の質問に肯定して、僕は大宮の隣の席に着席した。


「それじゃあこれでHRを終わりまーす。あんまり三谷くんを質問攻めにして困らさないでくださいよー」


 HRが終わり大宮が話しかけてくる。


「年明くん変わったね!目が見えることになったのも嬉しいけど…髪切ってかっこよくなったからかな、見た時全然分からなかったよ!」


 そう…僕は春菜に散髪屋に連れていかれ、髪を切ってもらったのだ。その結果…イケメンが現れた。春菜も散髪師さんもうっとりした顔で僕を見つめて、褒めてくれた。


「あ、ありがとう。そんなに変わったかな?」

「うんうん!切る前は髪が長すぎて顔が見えなかったからね!だけど今じゃイケメン顔が丸出しだよ!」


 そんな会話をしていると…他の生徒達に囲まれていた。大宮との会話を辞め、怒涛の質問攻めに遭ったが、1時間目の予鈴がなり、なんとか逃れた。が、僕は重要な事に気付いた。

(あっ…僕、教科書持ってないし、字書けないじゃん…)



--------------------

今回は張り切ってみました!できればコメントでここがだめ、ここはいいなどと教えてくれるとうれしいです!星とかもほしい!











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る