【番外編Ⅰ】エリーの日記(一部抜粋)
三月一日 晴れ
今日も変わらナイ一日。
ご主人ハ、いつも通り温室デ仕事。
先代夫妻とご子息様ガいた頃と比べテ、少し屋敷ガ寒く感じル。
三月二日 晴れ
今日もご主人ハ仕事。
あいかわらずノ出不精。もう少し外に出て欲しイ。
ちょうど煮詰まっていタから、調味料の買い出しを頼んダ。
「人使いの荒い妖精だ」と言われたカラ、仕返しにご主人ノシャツの襟にフリルを付けタ。
三月三日 晴れ
仕返しガご主人ニばれタ。
ご主人は魔法デ襟を元通りに直しテ、ワタシに「……悪かった」と謝ってくれタ。
やっぱり、ご主人ハ優しい御方。
三月四日 晴れのち曇り
大変なコトガ起きタ。今日、ご主人ガ惚れ薬を盛られタ。
犯人ハ商談に来訪した方の奥様。ご主人ハ耐性があったかラ大丈夫だったケド、件の奥様ノ旦那様はお怒りになリ、そのままご帰宅。
惚れ薬が切れるマデ、部屋に入るコトを禁じられタ。
三月五日 曇り
無事、惚れ薬の効果ガ切れタ。
デモご主人ハとてもしんどそう。今日ハ一日、お休みして貰っタ。
仕事は全部、トム達ニやってくれタ。
三月六日 雨
ご主人ガ無事回復しタ。
心配するワタシにご主人ハ「もう大丈夫だ」と言ってくれタ。
……デモ、ワタシは知っていル。ご主人ノ心は、日に日に憔悴していル。
ああ、どうか……ご主人ノ心を癒す人が現れて欲しイ。
三月七日 晴れ
ご主人ガ家を出てしまわれタ。
今まデ我慢した感情ガ、ついに爆破してしまッタ。
追いかけたかったケド、ワタシは屋敷の外を出れなイ。
どうか、戻ってきますように……。
(そこから数ページに渡り、無事を祈る内容ばかり書かれている)
三月三一日 大雪
季節外れの雪ガ降ったその日、ご主人ガ帰ってきタ。
どこかスッキリしたお顔ヲしていて、タオルを渡すワタシに「心配かけたな。もう大丈夫だ」と言ってくださッタ。
行方不明になっていル間、何があったのか分からナイ。
デモ……今のご主人ハ、前より素敵になッタ。
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三月三一日 晴れ
今日、驚くベキことが起きタ。
なんと、出不精のご主人ガ奥様ヲ連れてきた!
早速、おもてなしの準備ヲしなくてハ。この家に女主人ガできるのは久しぶりダ。
奥様の名前ハ、マユミ・タカナシ様。ご主人ノ花嫁。昔のご主人ト同じ、とても暗い目ヲした御方。
……そうか、一〇年前の今日、ご主人ハこの御方を見つけたカラ帰ってきて、そして迎えに来タ。
ならば、ワタシはいつも通りお迎えしヨウ。この愛らしい御方ガ、安心して暮らせるようニ。
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