オカルトは場所も大事
「そんなおっかない話は置いといて、……
『闇雲にあたっても仕方が無いので、まずは条件を精査してるところだ。名前の語呂から行っても三多摩あたりなら良さそうなんだが、豊田間御前だと仮定した場合、何しろ地脈が悪い。夜までには東京全体の地図を送る』
「そう言うのも関係あるのか? だいたい、素人じゃその辺わかるまいに」
『自身に近しい存在であるなら、場所を暗示的に指示することはできる』
「神主とか巫女さんってこと?」
『多分な。ただ、ガイトの言う通り。具体的な指示なんか出せるものか? と言うことで資料課が頭を痛めてる』
「なんでそんなに頭を痛める必要がある? 自動書記とかトランス状態の言伝とか、そう難しい話じゃないだろ?」
「そっちで保護してる四人、そしてさっきこちらで確保した二人。
「しかも鬼の属性が混ざってる、とか?」
「人がどうとらえるかで神の有り様は変化する。鬼の属性まで取り込んだうえで顕現、なんてホントに冗談じゃ無い。なにか間違ったら日本では収まらず、世界に波及する大事件になる。作務衣の連中含めれば、既に二〇人以上の一般人が巻き込まれてる。これだけでも、ありえないくらいに大ごとだよ」
「そういや、さっきの女の子二人は?」
『こちらで保護してるがまだ意識は戻らない。着ていた事務服は量販品、持ってた免許と車のナンバーは偽造。ということで、今のところ身元も割れてない』
「……ん? ちょっとまった。まだ意識が戻らねぇ? 米粒像の影響を排除したかっただけだから、そんなに強い薬は使ってないぞ?」
ガイトが使った薬は、倉庫で三人に使ったのとほぼ同じ分量だった。
現状でも目覚めない、と言うのはさすがにおかしい。と言う話だが。
『像と身体との物理的な繋がりの解除をトリガーに、意識の"ブレーカー"がトバされたらしい。もっとも。これについては、ガイトが結構な手間暇をかけて解呪してくれたんで、ほどなく自己復旧するって聞いた。明日には気が付くと思う。だそうだ。――ヤバいところだったが、相も変わらず仕事が丁寧で助かるよ」
「
『普通に像を取り出して、矛鈴とのリンクを無造作に切ったら、直接命にかかわるところだった。……巫女が外部の手に落ちるのを嫌がったんだろうね。但し仕込んだのは御前”本人“か、まわりの人間か。今んとこわからんが』
「あのふたり、ここにいる
「
「ふむ。ま、明日一日、静かに過ごせばオッケーなんだろ? 面倒臭いとこはお任せで」
『そう言わず最後まで付き合ってくれよ、もちろん週明けから増員できるし、面倒臭いとこは面倒みるからさ。……とまぁ、とりあえず。今んとこ、わかったのはそんくらいだけ。悪いね」
「鬼と神様、か。確かに属性的には近いんだろうね……。
「カセドラルが興味を持つ程度には面白い考察になるのさ。――なんか居るものはあるか?」
「んー。なら、使うかどうかわかんないけど。車を一台、都合つけてくんない? なんでもいいけど普通に五人乗れるやつで」
「――クルマは今晩中に準備させよう。……それと、今日の分のクルマと隠蔽工作分は領収書もらっておいてくれる? 僕の方で何とかするから』
「いいの? じゃ、あとで領収書回すよ」
「あと、電車代はそのまま振り込む。メールで良いから乗り降りした駅の名前、教えて」
「電車代もでるって? 雨でも降るんじゃねぇの? ――ところでオオヌサさん。明日もでてる、っつったよな?」
『――別件の方は、ほぼほぼ終わりなんだけどね。明日も定時定時で事務所には居る様にする』
「なら、なんかあったらまた連絡する」
『よろしくね、んじゃ』
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