第3話 滅びの時
「魔神将が現れました。イクサビトが数十人で立ち向かっても太刀打ちできない強大な魔神……。魔神将を1体討伐するだけでも百人、二百人ものイクサビトが犠牲になっていきました。その間にも増え続ける魔神……。そしてその日は来ました」
魔神王の降臨。
イクサビトたちの表情が恐怖でひきつった。
魔神王と我々が呼称する圧倒的な戦闘力を誇る魔神が姿を現したのだ。
一体の魔神将を倒すだけでも相当な被害があるというのに、それを遥かに超越する魔神王という存在はイクサビトたちを絶望の淵に突き落とした。
天ツ国のあらゆる場所でイクサビトたちは敗北を重ね、死体の山と血の河が築かれた。
巫女姫も次々と犠牲になり、現在生き残っているはこのククリ姫のみだ。
そして生き延びているイクサビトも、ここにいる俺たち百人以外にはもういないだろう。
ククリ姫の言う通り、もはや俺たちイクサビトの敗北は決している。
それはすなわち天ツ国の人類全ての敗北を意味するものであり、ここに集った全ての者にとって絶望の答えでしかない。
仲間のイクサビトたちが顔を青ざめさせる中、俺はなぜか頭が冷静になり、姫の言葉に疑問を感じていた。
なぜ今この場に至って、わざわざそんなことを告げたのだろうか。
こうなるずっと以前から、そう魔神王がこの世界に降臨した時から既にこのような結末になることは巫女姫の立場であれば分かっていたはずだ。
それでも天ツ国の大切な人々を守るため、俺たちイクサビトは最後まで戦い抜くと覚悟を決めていたのだが……。
「そしてとうとうこの日を迎えてしまいました。皆さまもお察しのとおり、私たちが最後の巫女とイクサビト。私たちがここで殺されれば天ツ国は滅びることでしょう。ですが……」
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