第2話自己紹介をしましょう。
「海野さん!?」
森宮さんは驚きの声をあげる。とりあえず状況を整理しよう。僕は高校入学ということで新しいクラスにきた。すると、隣の席には同期の美少女Vが……いやこんなことラノベでもそうそうない状況じゃないか?
「えっと、森宮さん。ちょっと外で話そうか。」
僕らは周りの注目を浴びながら教室の外に出る。
人目につかない体育館の裏に来ると僕から話を切り出した。
「森宮さん?昨日言ってた学校ってうちのことだったの?」
「うん。高校から受験して入った。にしてもまさか同じ学校になるとは思いませんでした。」
同じ学校になったからにはあまり芸名で呼んでいるとVをやってることがバレるかもしれない。本名だけでも聞いておこう。
「ちなみに本名は?僕は天野源だけど。」
「私は七宮桜。同級生なんだし敬語はやめにしよう?」
「ああ。そうしよっか。ところで七宮さん、学校ではお互いにVをやってるとは言わないようにしよう。」
「そうだね。ちなみに同じクラスだったってことは配信で言っとく?」
これについてもネタになると思うんだよなあ。まあいいか。
「多分いいネタになると思うしいいんじゃない?付き合ってるとかじゃなきゃ炎上することもないと思うし。」
その時、始業5分前を知らせるチャイムが鳴った。
「そうだね。そろそろ始業の時間だし教室戻らない?」
「そうだな。」
僕らはその後、変な勘違いをされないために、別々のタイミングで教室に入った。
始業時間になると担任が入ってきた。今年の担任は珍しく女性だ。二十代くらいの若い先生だ。初めて見る顔だから新任の教師だろう。
「みなさんこんにちは!今年一年担任をさせていただきます!早川沙織です!今年初めて教師をやるので至らない点があっても許してください。それじゃあみなさんも自己紹介して行ってください!とりあえず言うことは……とりあえず名前、趣味、特技、今年の目標で!それじゃあまずは天野くんから!」
随分と!が多い教師だ。だが今はそんなことを気にしている場合ではない。なぜならこの自己紹介で滑ったらこの一年間はもうダメになると思った方がいいからだ。下手なことはしない。ここは普通に言うべきだ。僕の苗字はア行だから一番初めだ。僕は席から立ち上がると自己紹介を始める。
「天野源です。趣味はゲームや映画鑑賞、カラオケとかですね。特技は歌を歌うことです!今年の目標は……皆さんと仲良くさせていただくことですね。よろしくお願いします。あ!後、この髪は染めてるわけじゃなくて、色素が抜けちゃっただけです。よろしくお願いします。」
周りの視線を浴びながらやった自己紹介は酷いものだったような気がする。だが失敗したわけではない。滑ったわけではない。それでいい。それでいいんだ。
さて、次の犠牲者の番か。後ろの眼鏡をかけたひょろっとした体型の長身の男子だ。彼は立ち上がると、
「えっと、石田秀明です。趣味はFPSとか音ゲーとかで、特技はFPSです。今年の目標は……勉強を頑張ることですね。」
彼とは非常に仲良くなれそうだ。僕と同じ何かを感じる。
その後もどんどん色々な人が自己紹介していく。
その中で七宮が自己紹介を始めた。有名Vの自己紹介、みてみたいものだね。
「七宮桜です。趣味は……絵を描くことや、歌を歌うことです……一年間よろしくお願いします!」
割と普通だな……
それじゃあうちの部長の自己紹介も聞いていくか……
「中谷晴です。去年まで剣道部の部長をやらせていただいていました。趣味はカラオケとVチューバーの配信を見ることです。よろしくお願いします!」
こいつは部長。去年まで僕が入っていた剣道部の部長だ。結構なイケメンで人気者だが、つい最近、僕がVの配信を勧めたことによって今はVにどハマりしている。
その後の自己紹介はほとんど聞いていなかった……(描くのが面倒くさかった)
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