第17話俺とサッカーをしてくれてありがとう

「本山、本山ぁ!」


「もう大丈夫だぁよ……」


「心配しすぎだろマサ、もう大丈夫だって言ってんだろ?」


「だけどよ、まだ顔色悪いって」




「お前ら、本当にすまなかった。」


「監督?」


「情けない試合をこの大事な大会でしてしまったことに謝っているんだ。」


「……っ、監督!!!悪いのは俺ですよ!!」


「本山、、」


「いや俺だって指示間違えた!」


「俺だって得点が!」


「俺だって、俺だって!」


「…監督、監督が全てを背負っちゃダメですよ!」


「お前ら……っありがとう、ミーティングは終わりだ。」


 ◆

「さてと…これで片付けおわ、、ん?」


「………」


「何やってんだよマサ、そろそろ帰るぞ」


「うっせえ、知らねえよ。」


「何言ってんだよ。ほら、早くこいよ」


「……」


「怒られても知らねえからな、先行くぜ」


「俺さ、」


「なんだよ」


「高永!!!俺、おれ……。もっとお前とサッカーしたかったっ、、、、、」


「急に何言ってんだよ…こっちまで、こまるだ、、ろ」


「う、ん、ごめん、ぐっ、す、」


「たく、、、帰る、ぞ、ぐっ、」


「うん……」


「マサ、俺とサッカーしてくれてありがとう」


「うっ、、」


「俺にボールをくれてありがとう」


 ◆

「太郎ちゃああああん?」


「お前ら…」


「セイジ様と和正カズマサ様と呼べw生意気だぞ?お前は箱田サッカークラブじゃないんだから。」


「箱田サッカークラブに入ってるだけで何が偉いんだよ。」


「そんなに睨んじゃって、まあ見ときなよ、お前らなんて1分で3点は入れられるからなぁw」


「全部止める、止められる!」


「馬鹿かよ、お前はただのベンチ温め役だろ?大人しく座っとけよ」


「それはそっちもでしょ」


「は?」


「いいんだよ和正、試合でたっぷり力の差を見せてやればな」


「ちっ、行こうぜ」


「太郎、太郎!」


「堂又くん!」


「なんかされてたか?ごめんな気付けなくて」


「大丈夫、何もされてないよ!」


「良かった」


「それじゃあそろそろスタメン発表だ、行こう。」


「はい!」


 ◆

「スタメン発表をする」


「よっしゃあああああ!」


選ばれたりなんかしてないよな…


「センターフォワードはタケシだ、終わりだ」


「はいっ!」


うん。やっぱそうだよな…


変に期待はしないでおこう。


こんな大一番に俺なんか、活躍できないし。


「それじゃあ……頑張ろう!」


「なんで先生ちょっと悲しそうなの?」


「なんでもない、なんでもない!」


「そうです、か。おし、じゃあ…いくぞおおおおおおお!」


「よっしゃああああああああ」




「あっちは気合い入れてるけど、ここで体力を使うのはもったいない。お前らは手加減してもあいつらに圧勝できる。手加減してこい」


「あーそういうことかぁ、慶介がスタメンなのはw」


「舐めプですねw」


「え…」


「そんなの当たり前じゃないかw手加減するさ。なんせあっちの監督はただの「素人」さんだからねw」


「余裕だなw」


なんだ、それ…久しぶりのスタメンだと思ったら舐めプするために入れたって、なんだよそれ。


ピーッ 試合開始


「太郎、暗い顔しないでね。」


「え、あはい!」


「今日のヒーローになるんだ。だから、そんなに暗い顔をしてるとダメだぞ?」


「ヒーロー?それって」


「後半から太郎を出すよ。だから、しっかり得点決めてくるんだよ!」


「…ありがとうございます!」




やった、やった。


やっと、ヒーローになれる!───────

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