第16話全力になりたかった、
「おいおいマジか。流れが変わったな」
「どうするみんな、このままじゃまずいよ。」
「…大丈夫、監督の指示がそろそろ来るはずだ。」
「ぐっ、うっ、」
「水飲みながらでいいからみんな聞いてくれ。」
「水飲むのやめようぜみんな。聞くぞ」
「はい。」
「…おお、ありがとな。それじゃあ話すが、戦術としては大きく変えるつもりはない。だが、1個だけ工夫して欲しいところがある。」
「…!本当ですか!僕を、出してくれるんですか!」
「ああ、頼んだぞ」
ピーッ 試合再開
「ふぅ、、ゆっくり呼吸だ、ゆっくり。」
新しい選手を投入してきたか、まあこのタイミングなら妥当だ。
ん!?
「クロス!こい!」
ループを空中に描くようなクロスボール!?
狙いは中央か!
ドンッ
「わあああっ!?」
シュート、外れたか。危ねえ…
「なんだあいつ、なんであんなに、」
「でけえ!!!」
あれ本当に小学生か!?180以上はあるように見えるぞ?
◆
監督、僕を入れてくれてありがとう。最後に…ありがとう。
「この病気は、身長を極端に高くしてしまうという症状があります。」
「運動は、どうしたらいいですか、サッカーやってるんです!」
「サッカーの練習中でしたよね、倒れたのは。…残念ですが、やらない方がいいですね。試合に出れても10分程度かと」
「監督、僕もうサッカー出来ないみたいなんですよ」
「本山お前またデカくなりやがってw」
「監督。」
「新しい戦術を考えてたんだがな…」
「本山あ!」
「クロスこいっ、高永ああああ!」
決めなきゃ、これが最後なんだ!
ドンッ!
今度は枠内をねらっ、こいつ、なんだ!?
「蒼は飛べる!」
ディフェンダー、僕より身長低いのに…確実についてきやがる!
「邪、まっ!」
「倒れても、守るのがディフェンダーだ!」
何回でもこいつらは立ち上がってくる、クッソ。
あっ、
蒼がカバーしたボールを誠が回収、いいぞっいいぞ!頑張れお前ら!
とられた。ボールを、、
「マサ、カウンターくる!カバーっああああ」
ボールを、ボールを、
「堂又、すすめえ!」
「もう堂又までいったか…!」
「監督、戦術ってなんですか?」
「お前の身長を活かした、ヘディング戦術だよ。そしたらほら、ボールを追わなくてもよくなるだろ?他の奴らに任せればよくなる。お前が、走らなくてよくなる。」
「本山?走るな!危ないぞ!」
「走んないで、僕が走んなきゃ、負けるでしょーが!」
「はっ!?さっきまでこっちのゴール前にいただろ!」
「うっ、あっ!」
「そっちに触らせてボールが外に出れば、こっちのコーナーキックだろ、」
わざと僕に触らせて、外に…!
「思いっきり蹴らせたからな、もう追いつけない」
「こっちボールにしてやるっっっっっ!」
「は!?」
があああああっ
「いってえ!スライディングってこんなきついんかよ!でも、これで、」
「くるぞみんな!」
「カウンターああああああああああっ!」
ここにきての、カウンターかよっ!
「俺がとるか、高永あ!」
「いや、大丈夫、俺は脳筋だから!あいつが死ぬ気で頑張るんなら俺も死ぬ気だ!」
「OK、脳筋っ!」
「くらえええええ、しゅーっと!」
がんっ!
「あ、!」
「ゴールポスト、ひろえひろえ!サイドガラ空き!」
「やべえっ!」
「…!?本山、もうそこに!」
「パスは僕が、カットすぅる、だか、ら…!」
コンッ
「奪ったぜえ!だいすっけええ!」
「真、ありがとぅ!」
「また奪われた、、走んなきゃ、」
「ああああああっ!本山、俺たちが走るから、お前は走るな!」
「…うっ、囲まれた。」
「でも、俺が走んなきゃ!」
「囲め囲め!他にパスさせるな!」
「たろうっかばー!」
「お、おうっ」
「太郎、こっち、ガラ空きぃ!」
「エースっ!」
「走れええええ、とめろっ」
「しゅーっと!」
ごんっ
「本山のブロック…!」
ゴール前で相手がシュートモーションに入ったと認識した時、多くのディフェンダーがやる行為こそが、体でボールを受け止めるシュートブロックだ。
だが、それは当たりどころが悪ければ…
キーパーが予測したボールが飛んでくる位置と真逆にボールが飛んでいくことになる────────
「はあ、はあ…」
後半アディショナルタイム残りわずか30秒
「本山、お前は悪くない。俺の指示が、」
視界がぼやける、、、やはり僕は無理だったのか。全力で走るなんて僕にはもう無理なんだ。
「おい、本山、下がれ!」
僕のせいで、、、
ピーーーーー
試合終了
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