第2話後続監督がなぜ俺に

「もう聞きましたかね?」

「ん?何でしたっけ?」

「あーえーとですね。サッカーのスポ少あるじゃないですか、学校のグラウンド使ってる方の。」

「ああ、それがどうか?」

「いや、実は」


「先日、監督がやめて」




「後続監督がいないんです!」


「はい!?どうするんですか?指導者候補なんていませんよ?」


「いやぁ、と言われましても」


「前監督が連絡が遅れていたようで、私も知ったのはつい、先日です」


「そうかい。」


「とりあえず、近所の人に相談しましょう。もしかしたら、サッカー経験のある人がいるかもしれません」




「ということで、誰か次の指導を頼めませんか?すぐに他の先生方にもお願いするので!」


「とはいってもなぁ、吉本さん。」


この地区の副リーダー的存在の吉本さんにそう、話し始めたのは45歳と、近所の中では比較的年齢が高い、増田さんだった。


「急に集められて、そんな事頼まれてもできねえよ。なあ?」


「はい。そうですよ、サッカーの経験なんてないですよ。」


この場に集められた大人の中でも年齢が高い増田さんの意見に他の人もどんどん便乗していった



「米田さん、どうですか?」


─────遂に便乗していないのは俺、たった1人になった


「あ、そうですねー...」


「駄目ですかね?」

「無理なら無理でもいいんですよ。そもそもこちら側のミスなので」


この無理ならいいという言葉が逆に俺の胸に刺さった。


そして、俺は口を滑らす─────


「サッカー、やってましたね!小学校の時が懐かしいですよ」


嘘だ。やったことなんてない。小学校の時とか、漫画ばっかり読んでた、その記憶しか残っていなかった


「え?いいんですか!?」


「あ、ええ。大丈夫ですよ!」


内心焦っていた。だが、焦れば焦るほどもっと嘘をついてしまう、悪い癖だ


「では、後続監督は米田さんで決まりました!お願いします!」


「はい。お願いします。」


こうして、サッカーは全くの素人なのを隠したまま後続監督になってしまった


俺はまさに馬鹿である




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