第169話 Plan Start(計画始動) 1

 その翌日の晩……。


 レイラは名を名乗った2人を探した。

ライラも目星を付けた数名を探している。

ミランダも同様で、対戦表から絞り出した人物を探していた。


 とあるサルーン。ミランダは1人ワイングラスを傾けていた。


 そこへ男3人が店へ入ってきた。

 ミランダの隣りの空いていたテーブルに腰掛ける3人。


 (チェックした3人だわ。3回とも出場してる3人。フォール、ピート、ロブ。上手く引き込めるかしら……。)


 3人はビールジョッキにラビンのジャーキーで飲み始めた。

 ミランダは彼らの話をシンクロで聞いていた。


 「次回の闘技大会はどうする?」

「俺は……グランダが出場するなら参加しない。」

「俺もフォールに同感だ。あんな卑怯な戦い方をするヤツとはゴメンだよ。そう思うだろ?ピート。」

「あぁ。恨むほどではないにしても、あの戦い方は許せない。拳闘士の風上にも置けないヤツだ。」


 そこにミランダが椅子を寄せて、男たちのテーブルに構えた。


 「こんばんは。ご一緒させてもらっていいかしら?」


 ミランダは容姿は悪くない。話し言葉も、男達には差し障りないし、男だけで飲んでるよりは花がある。

3人の1人、ピートが応じる。


 「男ばかりの話で酒も不味いだろうが、それでもよければ相席しなよ。」

「ありがとう。今、後ろで聞いちゃったんだけど、皆は拳闘士なの?」

「あぁ、そうさ。俺達は3回連続出場してきた。でもな……。」


 ミランダは3人のジョッキが空になったのに気付き、注文した。

「私から奢らせて。それで次回も参加するの?」


 ロブという男が答えた。


 「グランダが参加しないなら俺は出場するさ。」

他の2人は黙って頷いた。


 ミランダは前のめりになり、3人を手招きすると、小声で言った。


 「ここだけの話。私はグランダに貸しがあってね、もういい加減決着着けたくてさ。」


 ミランダは手ぶりで、首を切る素振り。

 男達は怯んだが、ロブが答えた。ロブは3人の中では格上なのかもしれない。


 「物騒な話だが、それはあんたの敵討ちか何かかい?」

「まぁ、そんなところよ。どう?お三方、金貨1枚で私に手を貸してくれないかしら。」


 ピートが答えた。

 「姉さんがグランダを憎んでると?奴はクズだ。放っておいても、いずれのたれ死ぬだろう。」

「今のうちにあの世へ行ってもらう。それでなきゃ気が済まない。どう?仲間に加わってくれない?」

 大の男3人は顔を見合わせている。


 「屈強の拳闘士だと見込んでの話よ。それともあんた達は見掛け倒しだったということね。」


 立ち上がろうとするミランダ。


 「いや、分かった。俺は手を貸そう。おい、ピート、フォール。この姉さんに手を貸していいんじゃないか?」

「グランダを殺るってのは気が引けるが、今後の俺達の闘技大会のことを考えるに、応じてもいいか……。」

「俺もロブがそういうなら加わってもいい。で、俺達はどうすればいいんだい姉さん。」

「姉さんはやめて。私はミランダ。訳あってグランダを殺らなければならない。奴を直接仕留められたら金貨2枚、いや3枚奮発する。奴の後始末はこっちでやるわ。迷惑はかけないから。」

「なぁロブ。俺達ゃ金貨云々じゃないよなぁ。卑怯なグランダがいなければ安泰だよな。」

「ピートもロブも、卑怯な手で負かされた屈辱は同じ。」


 ミランダは3人と話を付け、宿屋を教えてサルーンを出た。

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