第170話 Plan Start(計画始動) 2
一方ライラは街外れのサルーンへ入っていた。
(あれがバーンズとミトンね。仲が良いのかな?2人はよくここに来てるって話だった。上手く仲間に引き込めるかなぁ。)
シンクロを使って聞き耳を立てるライラ。
「もう傷はいいのか?ミトン。」
「あぁ、大したことはない。傷の場所が悪けりゃここには来ていないさ。」
「俺はこのざまだ。太ももにあれを食らっちまった。」
「バーンズ。次回はどうする?」
「俺は次も参加したいんだ。腕試しもあるが、近衛隊に入隊したい。過去の経歴で採用されることを期待しつつね。」
「なるほどな、お前は近衛隊を目指してるんだもんなぁ。」
カウンターに座っていたライラが、2人のテーブルにやって来た。
「ねぇお兄さん方。もしかしてこの対戦表の方々かしら?相席して構わない?」
とまどう2人をよそ眼に、さっさと座るライラ。
「えっとー、こちらはバーンズさん。で、こちらがミトンさんね。嬉しいー。拳闘士の方に会えるなんてー。私、闘技大会が始まって以来の拳闘士ファンなんです。一緒にお話いいですかー。」
名前を言われて、まんざらでもない2人。
「私、3回とも観戦したのだけど、やっぱりあいつの戦い方は許せない。そう思いません?」
ビールを飲み干しバーンズが答えた。
「お嬢ちゃん、これを見ろよ。グランダの円盾にやられたんだ。ヤツの剣が突き立ったのなら納得がいくが、受け身をする振りをして円盾の鋭い部分でこのざまさ。」
「バーンズさん、ミトンさん。おかわりを奢らせて。」
ライラはウエイトレスに注文を通すと続けた。
「私のママは、グランダに貸しがあって……なんていうのかしら……敵討ちというか……。お二人にその敵討ちに手を貸してほしいの。お願いします。ママは金貨1枚で雇うと言っているんだけど、もし2人が同意してくれるなら、私の口添えで金貨2枚!……ねぇお願い。私を、私のママを助けてほしいの。」
ラム酒でほんのり頬を染めたライラは、猫なで声で2人に言い寄った。もちろん2人は同意のつもりだろう。
ライラは続けた。
「もし敵討ちが成功したら、ママに頼んでお礼を弾ませます。」
「そこまで言われるとなぁ……なぁミトン。悪くない話だろ?」
「確かにだ。しかしグランダを殺るってのかい?」
「はい。それはママの思いなの。あいつからどんな目にあったか。殺しても足りないくらいの憎しみを持っています。」
少し沈黙をおいて、
「大丈夫。お二人の今後に迷惑は掛けませんわ。もちろん後始末はママがぬかりなく行います。」
「そうか……。バーンズ、協力しようか。」
「うむ。そうするか。」
ライラも宿屋を教えてサルーンを出た。
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