第153話 Plan Of Revenge With Granda(グランダへの復讐計画) 5

 (ほーん。綺麗な作りなのね。闘技場には勿体ないわ。)


 闘技場は所々に大理石で作られた壁面が有り、支える柱には細かな彫刻が施されていた。


 ライラは闘技場を舐めるように見て回っていた。


 闘技場正面ゲートにやって来たライラ。闘技大会の告知ポスターを見付けた。


 『第1回闘技大会 参加者募集 腕自慢の強者達の参加をお待ちしています。尚、勝者は近衛隊への優先入隊が保証されます。』


 (王城は近衛隊を組織して戦争でもやらかすつもりなのかしら……物騒な話ね。)


 ライラはポスターを見ながら呟いた。


 一方城下町を歩くガム。フリップグロスや現世のブレインラードとは違った賑わいがあった。


 オープンカフェのような佇まいの店に立ち寄った。

 子供連れやカップル、老夫婦や旅人らしき人。様々な人間模様がそこには垣間見れた。


 ガムはコーヒーを頼むとパイプに火を点けた。


 煙を燻らせながら、周囲の会話に聞き耳を立てている。

 ごつい体格の男二人からの会話が耳に入った。


 「どうだい。闘技大会に参加してみようか。」

「勝者は近衛隊に優先入隊出来るんだろ?それにしても勝者だけとはケチな対応だと思わないか?」

「腕試しだよ腕試し。近衛に行きたきゃ直接試験に行きゃいいだろ。闘技大会は近道なだけ。」

「俺はまず無理だ。グラード兄弟には敵わないよ。」

「確かにな。多分あの兄弟がワンツーに決まってる。」


 グラード兄弟と聞いて、ガムは男達のテーブルに席を移した。


 「ちょっといいかい。……あ、すまん。ラビンのステーキを彼らに持ってきてくれ。」

ガムはウエイトレスにステーキを注文した。

「今、耳にしたんだが、話していたグラード兄弟とは?」


 男2人は怪訝な顔だったが、ラビンのステーキの注文を聞いて表情が軟らんだ。


 「兄ちゃんは知らないのかい?あのグラード兄弟は、闘技大会に参加して名声を得る目論見もくろみだよ。なんせ勝者は近衛隊に優先入隊出来るんだからな。」

「ただそれだけで参加なのですか?」

「いやいや、グラード兄弟の父親は元近衛隊士。その息子達だ。かなりの腕になったと聞いているよ。俺達じゃ敵わんだろうね。」


 そこへラビンのステーキが運ばれてきた。


 「遠慮なくやってください、どうぞ。」


 ガムは男達に勧めると、パイプを燻らす。

 男達は満足そうにステーキを食べ始めた。

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