第139話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 40
現世の時代……。
ミランダとのリンクに成功してから数日後。薄紫色の時がやって来た。ガムはグアムスタンの雲行きを気にしつつ、巨人の槍に向かっていた。
遠くの雲が時折光始めると小雨が降りだす。
ガムは巨人の槍の前に立っていた。緊張なのか、心なしか手先が震えていた。
やがて雷鳴が響き渡るようになると、ガムは巨人の槍に両手を触れた。ガムの髪色が変わり始める頃、稲光が強くなってきた。
(そろそろだな。全てのパワーをここに集中させる。)
ガムはフルパワーで稲光に備えた。まもなく、稲光は巨人の槍にも届くようになり、ガムは光に包まれていった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ。」
つい叫び声をあげてしまうガム。それでも両手は巨人の槍に触れたままでいられた。
僅かな時間だっただろうが、ガムにとっては長い時間に感じていた。息が荒くなるも、稲光が治まり始めるまで耐えられた。
雷鳴がしなくなり稲光もなくなって、雨が小雨へ。
小雨は次第に止んでいった。
ガムは力尽き膝を着いてしまう。(なんとか耐えた……。良かった……。)
ガムは巨人の槍にもたれかかったまま、ほんの数分気を失っていたらしい。
気が付いてゆっくり目を開けた。
(身体に異常はなさそうだ。た、立てるか……。)
ゆっくりと立ち上がるガム。
(よし、なんでもないようだ。さて、習得出来たのだろうか?……同じ時節なら体力と魔力の消耗は少ない。このままミランダ様の邸宅まで転移!)
ガムの髪色が変わり、巨人の槍から姿が消えた。
すぐに邸宅のリビング、いつもパイプを燻らす窓辺に転移してきた。(やった!成功した。イメージし易いここを選んだのは正解だった。……イメージ通りの場所に転移可能。僕にはイメージする事は得意じゃないけど、鍛錬するのみってところかな。ミランダ様が戻るのを待つことにしよう……。少し疲れた……。)
暖炉に火も入れず、ガムは窓辺の椅子に座り、眠ってしまった。
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