第135話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 13

 サンドラ邸……。

 いつもの食後の団欒。


 「同じ時代の時間なら体力や魔力の消耗はなさそうねライラ。」

「あの時、手を繋いだのは何故なの?」

「だって万が一、どちらかのパワーが足りなかったら補えるでしょ?だからよ。」

「ふぅん、そうだったんだ。」

「ねぇママ。これって魔導士以外の人とでも転移可能なのかしら?」

「それは分からないわ。その時は体力、魔力も必要かもしれない。」


 サンドラは話が分からな過ぎて、居眠りを始めている。

 レイラは、椅子に掛けてあったひざ掛けをサンドラの肩に掛けながら言う。

「転移できるとしたら……、例えばサンドラさんと転移可能?」

「そうね、同じ時節なら可能かもしれないわ。」

「詳しくはワンドルさんに聞いてみるとか?」

「ワンドルさんは麓で静養してる。明日行ってみる?」

「あまりワンドルの負担にならないように、私も一緒に行くわ。」

「うん、相談してみたいママ。……あと転移術式を使っているのに、同じ時節だと体力や魔力を消耗しないのも気になってて。」

「私達にはまだ知らないことが多いわね。」

「よーし、明日ワンドルさんの所に行こー。」



 翌朝……。

 ワンドルの仮住まいにやって来た3人。


 「具合はどう?今日はワンドルに色々聞くことがあって。」

「私達も同じなんです。」

「心配ない。もう身体は癒えている。子供達まで一緒でどうしたんだい?」

「転移術式の事なの。……ねぇワンドル。転移の時に第三者と移動は可能なの?」

「その点か。……第三者が魔力を持たない者の場合は厳しいな。術式を使う側が相当量の体力と魔力が必要になる。時代を超越することも当然不可能だろう。」

「私達、この時代の同じ時節にライラと転移したの。リュージンさんのお庭まで。失敗して離れ離れにならないように手を繋いで。その後、リュージンさんのリビングの絵を見ながらダットロームの教会まで転移してきました。上手くいったわ。」

「お前達そんなことまでしてきたのかい?」


 ワンドルは驚いたのか、椅子に腰かけなおす。


 「絵は新しいもので、ダットロームの教会が建てられた頃の物だって。あまりにも素敵な絵だったから良くイメージできたのかもしれない。」


 「その絵をイメージして転移できたのか?よくやったな。」

「これからはグランダが現れた時代を探しましょママ。書物の挿し絵は見付かったのでしょ?」

「いくつか挿し絵はあったわ。その書物の挿し絵に偽りがなければ転移できるかもしれないわね。でも、しばらくは同じ時節で鍛錬を続けてからね。」

「うむ。時代を越えた転移は、自身をむしばんでいく。果ては転移中に死を迎えることになってしまう。多用するなとはこの事なんだよ。」

「分かったワンドルさん。当分は鍛錬しながらレイラと一緒に転移する。」

「それがいいだろう。失敗して離れ離れになるよりマシだ。……ところで、ミランダ。他には何かあるかい?」


 ワンドルはムーブを使い、テーブルにティーセットを運んだ。

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