第129話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 10

 過去の時代……。

ある日のバリスタン山北部、ブリード川……。


 姉妹はシンクロを使いながら魚を捕まえている。

川の堰にシンクロで誘導、捉えるのだが、それが様になってきた。


 そして、サンドラが用意してくれているランチ休憩中の会話。


 「ねぇレイラ。書籍の挿し絵を見て、その時代に転移出来るものかしら?」

「それは……やってみなければ分からないわよ。でも失敗しても戻ってこられる。」

「ワンドルさん、転移術式は多用するなって……。」

「そうよね。魔力も体力も消耗する。多くの失敗は許されないでしょうね。」

「でもでも、レイラと2人で狩場からサンドラさんの家まで転移した時はダメージは感じなかった。」

「多分、同じ時代だからだと思う。もしくは近い距離だからってところじゃない?ライラ。」

「それならこの時代だけで転移の練習、鍛錬してみたい。」

「行ったことのない所、そこの絵を見て転移の練習?」

「私、リュージンさんのリビングで素敵な絵が飾ってあるのを思い出したの。場所は分からないけど、この時代のどこかの絵でしょ?」

「それは分からないじゃない。古い絵なのかもしれないし。」

「そうね、でもあんなに素敵な絵なら転移するのは簡単そう。」

「さぁて、じゃあ市場の帰りに尋ねてみる?」

「うん、そうしたい。」

「仕方ないなぁ……。今日は早く切り上げて戻りましょ。」

「ありがとうレイラー。」


 肩をすくめるレイラ。

 いそいそと堰に向かうライラ。捕まえた魚を生け簀に放り込む。


 (何事もやってみなければ結果は出ない……かぁ。)



 市場の帰り……。

 姉妹はリュージン邸に足を向けた。


 ライラがリュージン邸で見かけたと言う絵を確かめる為だったのだ。その絵がどの時代の物かは姉妹には分からなかった。


 日暮れにはまだ早い頃、姉妹は市場の帰りにリュージン邸に訪れた。相変わらず手入れの行き届いた庭を歩いて行く姉妹。

リュージン夫妻は庭にはいなかった。


 ライラがドアをノックした。

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