第130話 This World And Times Past (現世と過去の時代) 36

 現世の時代……。

ミランダ邸リビング……。

協会本部から戻ったミランダ。


5冊の書籍をテーブルに置くと言った。


 「ひとまず書籍を借りてきたわ。目を通したら、闘技場に行ってくる。地下には歴代勝者の肖像画が飾られているんですって。顔だけでも覚えておかなきゃ。さ、ガム。この書籍から、闘技場に関係する挿し絵のあるページにしおりを付けて。」

「これはかなりの量でですね。分かりました、取り掛かりましょう。」


 しばらく書籍を見続けていた2人。

ガムが言った。


 「ミランダ様。私も魔導士の端くれ。転移術式を習得します。」

「ガムならポーション無しでも習得できそうよ。でも、巨人の槍から離れたら危ないわ、添えた手は絶対離さないことね。多分、稲光で死んでしまう。」

「分かりました。僕は、この身体の力尽きるまで魔導士達のお役に立つ事を決心しました。」

「あら、力尽きるまでなんて大袈裟ね。大丈夫よ、時代を越えた転移以外は体力に影響は少ないわ。」

「それからミランダ様。1つ確認したのですが、巨人の槍でのリンクは、もしかすると薄紫色の時以外でも可能かと思います。というのは、リンクの最大パワーで、他の時代の音が聞こえるんです。」

「それはあなたが確認したの?」

「えぇ。風のそよぎ、鳥のさえずり……。他の時代の音なんです。……ただ……。」

「ただ?」


 2人は書籍のページをめくりながら話す。


 「ただ、シンクロは不可能かと。目標となる相手が定まらないからです。ですがリンクで繋がることはどの時代でも可能だと感じました。」


 「一度確かめてみましょうか。私が過去に行って、ガムは巨人の槍で待機。薄紫色の時以外の天気を見計らってリンクを掛ける。そこで会話が出来れば、ガムの考え通りってことよ。」

「はい。お願いしますミランダ様。」

「巨人の槍……不思議ね。過去とリンクで繋がれるなんて。」


 2人は、目ぼしいページにしおりを挟んでは次のページを綴っていく。



 しばらくの時間の後……。


 「挿し絵入りのページはこれだけですね。でもかなり有りますが。……どうですか、ミランダ様。」

「この挿し絵を見て、イメージしながら上手くその時代に転移できるかしら。」

「挿し絵は素晴らしい絵ですが、果たしてその時代に上手く転移出来るかは分かりません。……子供達には難しいことになりそうですね。」

「そこなのよ。子供達と私が同時に同じ時代の同じ場所へ転移する事……これが出来ればここまで不安になる事もないのに……。」

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