第127話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 34

 魔導士協会本部近くに転移したミランダ。

正面玄関の車寄せで立ち止まった。


 (さて、直接協会長と面談するか、黙って書庫に向かうか……。)


 入り口を入っていくミランダ。

その姿を知っているものは、深く頭を下げている。

 ミランダは、トップ魔導士だったガイラの妻であり、最上級魔導士。トップに名を連ねる。知らない者も多いが、協会内ではほぼ誰もが知っていた。


 ミランダの姿を見かけ、魔導士ギルドルームから慌てて出てきたギルドマスター。


 「ミランダ様、お久しゅうございます。本日は如何様いかようでの訪問ですか?」

「あら、マスター。ごきげんよう。今日は資料をお借りに伺ったのよ。協会長にお目通り願ったほうが早そうだけど、いらっしゃる?」


 マスターはミランダに、近くの椅子を勧め、2人で座った。


 「今、隣国ジュアルドの王が危篤だと伝聞が届き、今はジュアルドに赴いています。」

「留守ですか、残念です。ジュアルド王はポーションだけで延命できる程度なのかしら?」

「それは存じ上げません。私と最上級魔導士数人がここを任されました。」

「ジュアルド王のご健勝を祈ります。……それでは、書庫に向かいます。いくつか書物を借りたいの。」

「かしこまりました。書庫の前のカウンターにグルードがいます。彼に事情を伝えてください。」

「ありがとう、マスター。では、また。」


 ミランダは、書庫のある地下へ歩いて行った。

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