第122話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 6

 ついに薄紫色の時が来たのだった。

 ワンドル、ミランダと姉妹は巨人の槍にやって来た。


 「いいかい二人共。全てのパワーを維持しながら、巨人の槍から手を離さないこと。かなりの稲光のエネルギーだ。それにひるまずに耐えなさい。何かあっても私達がいる。」


 ミランダは姉妹の肩をそっと抱いた。

 レイラとライラは、決心したかのように、見つめ合い頷いた。


 小雨がパラつくと、遠くグアムスタンの雲の色が変わりつつあった。次第に雨脚が強くなる。

 雷鳴が響くようになってきた。姉妹は震えていた。


 「さぁ、もうすぐだ。準備しなさい。」


 ワンドルの言葉に、姉妹はパワーを振り絞る。

髪色が変わり、レイラは赤いオーラ。ライラは黄色いオーラに包まれた。

 「そのままパワーを維持して巨人の槍に手を触れなさい。大丈夫よ、ママも何ともなかったわ。」


 稲光が激しくなってくる。やがては巨人の槍まで届くようになると、ワンドルが促す。

「さぁ、今だ。手を触れたらパワーを維持しなさい。」


 姉妹は巨人の槍に手を触れた。

やがて稲光が巨人の槍に届いた。

激しい閃光、軽い振動も感じた。


 姉妹は閃光に包まれ、光を帯びている。


 「そのまま続けて!耐えるのよ!!」


 幾度かの稲光の後、雨脚と共に稲光が治まった。

 まだ遠くでは雲間から稲光が見える。


 雨は小雨に変わり、雲の色は元に戻ろうとしている。

姉妹はというと、巨人の槍に手を触れたままだ。

 しかし、ミランダの時と違う。巨人の槍からゆっくりと手を離す姉妹。髪色もそのままに、ワンドルとミランダに振り返る。


 「あなた達……。レイラ、ライラ。」

「ママ!」

「なんと!耐えられたのか。」


 姉妹はワンドルとミランダに、交互に抱き付いた。


 「よく耐えたわ二人共。ママは気絶しちゃったのに。よく頑張ったわね。身体はどう?何ともない?ポーションは必要?」

「大丈夫よママ。ライラは?」

「私も大丈夫。すごくしびれたけど頑張って我慢した。」

「念の為だ、飲みなさい。」


 姉妹はワンドルからポーションを受け取り飲み干す。


 「よく頑張った。身体の状態はどうかな?」

「大丈夫ですワンドルさん。」

「ママが見てくれていたもの、全然平気です。」

「そうか。ミランダより優秀だな。では、早速だが、サンドラの家まで転移してみようか。玄関のドアを思い浮かべて、そこに向かって行く気持ちで。……やってごらん、私達は後から行く。」


 既に雨は止んで、グアムスタンの雲は白く変わっていた。



 レイラとライラは、それぞれ別のポーズかと思いきや、同じ様にポーズをとった。

何かを抱きしめるような、そんなポーズだった。

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