第119話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 3

 姉妹が市場から山を上がってくるところだった。

煙突からはいつにも増して多くの煙。そして、外にも漂っているいい香り。


 「ね、レイラ。すごくいい匂い。サンドラさん、今晩は何を作ってるのかしらね。」

「まったく食いしん坊だなぁライラは……。……ん?なんか、懐かしいような匂いがするよライラ。」

「ママのパンケーキの匂い。……ママ、戻ってきたのかしら!」


 その後は足早に家に向かった。


 既にテーブルには幾つもの皿が並び、サンドラの肉料理やミランダのスープ料理が並んでいる。


 「小麦をたくさん持ってきたのでパンケーキまで作りましたが、サンドラさんはお好きですか?」

「クッキーくらいは焼くけど、パンケーキは久しぶりだねぇ。」

「子供達の好物なんです。匂いを嗅ぎつけて……。」


 すると、急にドアが開き、姉妹が入ってくる。

「やっぱりママ!美味しそうなパンケーキの匂いがしたから走ってきたわ。」

「食いしん坊ライラめっ。」

「今晩はあたしとママの料理だよ。ほら、荷物を置いておいで。」


 「はぁい。」声を揃えて言うと部屋に入る姉妹。

「いつもあんな調子なんだよミランダ。」

「えぇ。向こうでも同じです。大した手伝いもせずに、食べるのが先走っちゃって。」


 ミランダとサンドラが椅子に座る。ワンドルが言った。


 「この先、グアムスタンの薄紫色の雲の時はいつ頃かな?」

「そうさねぇ、あと2週間から1ヶ月ってところかねぇ。」

「そうか、ならば王城まで向かうとするか。」

「ワンドル、何を見に行くの?」

「いや、闘技場の建設場所をな。」


 そこへ姉妹がテーブルに戻った。

さっそく甘ったれのライラはミランダに話し始めた。


 「今日戻るなんて。びっくりしたわママ。外を歩いてきたらレイラが懐かしい匂いがするって。ママのパンケーキだったのね。」

「二人共元気で何よりだ。それで、闘技場の話は聞けたのかい?」

「はい。町長さんからの話だと、闘技場建設の寄付を募っていると言ってました。国中から集めているそうなんです。」


 レイラは町長から聞いた話をワンドルに伝えた。


 「ちょうど良い。町長からは馬を借りるといいさ。王城までは遠いよ、ワンドルさん。」

「馬は慣れています。ご心配無く。」

「じゃあ私達がワンドルさんを案内します。」

「そうかいレイラ。ライラと麓まで案内を頼んだよ。」

「ありがとうございます、サンドラさん。早速明日、向かいます。」

「王城までの道は町長に尋ねるといいさ。野宿は覚悟しなきゃならないがね。」

「私達もパイルグロスまでは行ってきたのよ。ママ。」

「あら、それは馬でかしら?」

「そうなの。しかも野宿しながら。」

「2人はじゃじゃ馬って事だわ。ねぇサンドラさん。」


 笑いも交え、色々と話しながら、今晩はテーブル一杯の料理に舌鼓を打つ5人であった

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