第118話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 2
サンドラ邸。
ミランダとワンドルが戻ってきていた。姉妹はまだ市場から戻っていない。
ミランダは姉妹の今までのお礼にと、ブレインラードの小麦やバターなどを手土産にやってきた。
リビングでお茶を飲みながら、2人はサンドラに今後の行動を伝えた。
「あの子達は、今じゃ孫のように思うようになってね。楽しい毎日が続いてきた。それだけであたしゃ幸せだよ。」
横に座っていたミランダが椅子を寄せて、サンドラの肩を抱く。
「子供達の行動は私が指図することではないわ。多分、2人は現世の……。ブレインラードを気に入っていると思うの。ここで過ごすのも、元の時代で過ごすのも本人達に決めさせます。」
うつむくサンドラは、何もかも失ってしまったかの様な表情を浮かべて沈んでいた。
そこへワンドルが話し始めた。
「現実的な話になります。私達がこうして他の時代から転移してくる度に、かなりのエネルギーと魔術を消耗してしまいます。これは多用出来ない術式なのです。ですから、ある目的を終えたら、子供達に今後どうするのかを尋ねます。もうしばらくの間、今まで通りお過ごしいただければ構いません。」
サンドラはしばらく黙っていたが、
「そうさね、元々あたしゃ1人でここに居たのだから何も問題は無いよ。出来る事なら……。……いや、たまにでいいよ、2人の顔が見られればいいってもんさね。」
ミランダは更に寄り添うと、
「私があなたを母のように慕っても構いません?」
ワンドルは向かい側で微笑んだ。
「おや、孫の他に娘までここに?それは幸せでしょうね。すぐにでも天使に連れられてもいい気持ちですよ、ミランダさん。」
「いいえ、サンドラさん。そこまでおっしゃらず。……子供達と同じ、ミランダと呼んでくださいな。」
「家族がまた1人増えるのかい。悪くないが、ここブレインラードでは何か仕事を持たなきゃ過ごせないからねぇ。」
「あら、サンドラさん。それはもう子供達を見ていてお分かりでしょう。狩りも魚獲りも、あなたとは森に出掛けてもいいですわ。料理のお手伝いもします。」
「このままあの世へ行ってもいいくらい感激だよミランダ。」
外が薄暗くなってきたのを窓越しに見ていたワンドル。
「そろそろ戻るんじゃないか?」
「そうさね、市場の用は済んでるだろうよ。ミランダ、お土産の小麦で料理を始めようかね。」
「はい、サンドラさん。」
ミランダは、サンドラに母親の面影をオーバーラップさせたのだろうか、既に親子の雰囲気が見え隠れしていた。
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