第116話 An unsuccessful subjugation(叶わない討伐) 2
一度過去の時代、姉妹との再開後に現世に戻ったミランダ邸。
ポーション等の準備を万全に、やって来たワンドル。
「おいおい、ミランダ。どれだけの荷物で出掛けようというんだい?そんなに荷物を持って、旅行にでも行くつもりかな?」
「ごめんなさいワンドル。サンドラさんには子供達がお世話になっているので、出来る限りのお土産をと思って。」
「まぁよい。我々人間を一緒に転移させるには相当の熟練が必要だが、荷物なら問題なかろう。」
ガムはワンドルの持ち物を見て、
「ワンドル様。今回向かったら、次の薄紫色の時はあの子達を?」
「うむ。そのつもりだよ。心配ない、習得は容易。子供達にはその先の事をしっかり伝えねばならない。」
「それはある程度は考えていると思うわ。ただ私達の時代の者がグランダを仕留めたとしても無駄だと言い聞かせなきゃ。」
ワンドルは少し神妙な面持ちで語った。
「子供達が転移術式を習得後、グランダが存在する時代を探る。そこからが問題だ。グランダのパワーを考えると、並みの人間では太刀打ちできないだろう。私達が手助けしたとして、果たして過去の時代の者達だけで仕留められるかが課題になる。」
「闘技場の格闘大会、ここの強者を集めて計画を立てることになりますね。……ミランダ様、ここは姉妹と連携して、時代を探らなければ。」
「フリップグロスがブレインラードに町名を変えた頃、その前の頃を中心に探ってみるわ。」
大荷物を従えたミランダと、多量のポーションを用意したワンドルは姉妹の時代へと転移した。
過去の時代……。
姉妹は、陽が傾いて早々に山を下りて、市場に向かっている。
市場の帰りに町長宅に訪問するためだった。
「ママ、いつ来るのかなぁ。」
「ママにだって準備があるわ、気長に待つことよライラ。ママには無理して転移術式を使ってほしくないもの。」
「そうよね。ずっと先まで待つわレイラ。」
いつものように市場責任者のドンバスに獲物を渡し、賃金を受け取ると、町長宅に向かった。
夕方になり、買い物の人達や、到着した行商の荷馬車とすれ違う。
ブレイン町長邸……。
「町の歴史書はこれだけ。でもフリップグロスが改名されるって話だと、それ以前に闘技場は完成していて、大会も始まったんだと推測できるね。」
「ブレインさん、最近は他に何かありませんか?」
「そうそう、それなんだよ。もう10日位前になるが、その闘技場建設費用の寄付を募る一報が来たんだ。とはいっても、こんな田舎町だろ?寄付なんていくらも集まらない。どうしたものか迷っていたところさ。」
「それで闘技場は、完成予定はいつを見込んでの話なんですか?」
「それは分からんが、国中で寄付を募るんだ。数ヶ月先には完成するだろうよ。闘技場なんてものを作って何が楽しいんだか……私らには到底理解できないがね。」
「ありがとうございますブレインさん。これで失礼します。」
姉妹は帰宅の途に就いた。
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