第114話 Reveal The Seed (種明かし) 2
更に少し後のミランダ邸リビング。
外は既に陽が暮れようとしている。
ワンドルは話を続けた。
「いつの時代からか、魔導士協会が魔導書を改編している。多分、最後のページがあるからなのだろう。私やガイラが持っていた魔導書は改編前の古いもの。今の魔導士達には知る由もない。」
「なるほど。僕が今持っている魔導書は改編後の物なんですね。」
「色々と子供達には過去のフリップグロスで全て話したがね。」
「私もフリップグロスに転移した時に子供達から聞きました。ワンドルから最後のページを見せられたと。」
ガムはパイプに火を点けた。ワンドルは立ち上がると、窓辺に歩いて行く。
「私はもう思い起こすことはない。悔いはないさ。……あとは……あとは君達で解決していくことだ。……子供達はもう立派な魔道士だ。まるでガイラを見ているようだった。意志が強く、その通りに実行し成功する。転移術式マタスタシス=テク……呪いの術式とはよく言ったものだ。……さて、私はそろそろの麓の仮住まいに戻るとしよう。一旦はこの時代の仮住まいにいる。そう魔導士達に伝えてくる。」
そう言ってワンドルは部屋を出ていく。
まもなくして馬の蹄の音が静かに消えていった。
「習得して、身をもって確認する……ですか。協会本部はマタスタシス=テクの副作用を把握していて、結果魔導書の改編によって封印しようと……。ミランダ様、僕も転移術式を習得をするべきでしょうか?」
「それはあなた自身が決めなさい。呪いの術式と知っても習得するか、ガムの中で封印するかよ。」
「ミランダ様は習得を選択しました。よって僕もいずれ習得します。自分自身は魔道士達の為に役に立とうと思います。」
「それもあなたの選択。……魔導書改編、協会の対応は間違ってはいない。確かに転移にはエネルギーを使うし、体力を消耗する。魔道士達がマタスタシス=テクを習得して、多用してしまえば……。いつなのかは分からないけど、封印を選んだ魔導士協会は理解出来るわ。」
しばらくの沈黙……。
「まもなくするとワンドル様が言っていた結果が訪れる……。」
「そ、そうね……。……ワンドル……。」
ミランダの頬には涙が伝った。窓辺に歩いていくガム。
「ワンドル様……。」
窓の外を見つつガムが呟いた。
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