第113話 Reveal The Seed (種明かし) 1
現世の時代……。
ミランダ邸リビング。
巨人の槍でマタスタシス=テクを習得し、三日三晩の看病の後、ミランダが回復したのを確認して過去に転移した。
念願の姉妹との再会を果たし、一旦現世に戻り、巨人の槍でのリンクは当分の間は行わない事、そしてワンドルとミランダは、過去にしばらく滞在する事をガムに伝えに帰ったのだった。
「……私は、結果、最上級術式を習得した者全てが得られるのだろうという結論に至った。グアムスタンの稲光のエネルギーが全ての術式を増幅する。それによりマタスタシス=テクの習得と成すのだ。自然の力がもたらしてくれる。」
ワンドルはゆっくりした口調で語った。
「だが転移術式は、使う者を
(己の全てを纏い、轟く雷鳴に身を捧げよ。稲妻を身に纏いしは、いずれ光の力が己自身となり元に返る。それをもって己は光の使いとなす。感じた場所に移動する。己の力と引き換えに。)
「己の力と引き換えに。やっぱりこの事なのねワンドル。」
「察しの通りだ。だが当初の私は気が付かなかった。しかし、多用していくうちに理解できた。」
「では、習得後はあの子達には現世に留まってもらわねばなりません、ミランダ様。転移は禁ずるべきと……。」
「ガム、それは……。……それは子供達の意思に任せるわ。そうよね?ワンドル。」
「私はガイラではない。子供達を束縛はできんよ。ましてや術式を禁ずる事など到底私には出来ない。」
「ワンドル様まで……。」
「ガムにも既にマタスタシス=テクは習得出来よう。身をもって確認するのも良しだ。」
「身をもって……。は、はぁ……。」
ミランダ邸には重苦しい空気が流れた。
転移術式マタスタシス=テクの恐ろしくも虚しい結果に、三人は黙り込んでしまった。
「……これがマタスタシス=テクの種明かしだよ。かねてから、魔導士達には賛否両論、展開されてきたのだろうさ。」
「以前、巨人の槍のリンクを始めた頃、あの子達はワンドルを心配していたの。多分文書のページを既に理解していたんだわ。」
「それなら君だってそうだろう?以前私の身を案じてくれた。それは、あの文言を理解したからだろうが。」
「その通りよワンドル。だから、だからあなたにも過去には行かないようにと……。」
「しかしな。私はもう時遅し。まもなく死を迎えるのだからな。」
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