第112話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 32

 翌朝……。


 「じゃ、行くわね。……そうそう。魚獲りはシンクロとムーブを上手に使うといいわよ。あなた達に出来るかしらね。」


 姉妹に笑いかけながらドアを出ていくミランダ。

見送りに姉妹も外に出てきた。


 「ママ、大丈夫?」

「心配ないわよ。じゃ、また来るわ。」


 ミランダは髪色を変え、目を閉じると、まもなく姿が消えた。


 「凄い!ママ、ワンドルさんみたい。」

「ライラ。次は私達も習得しなきゃ。頑張りましょ。」

「町長さんを訪ねるけど、今日は狩りを休んでリュージン夫妻に報告しに行きましょうよレイラ。」


 姉妹は狩りを休み、麓に出掛けた。リュージン邸に向かうためだ。もちろんミランダの事を報告するのだろう。


 ランチ前、夫妻は外にはいなかった。

ドアをノックする。まもなくしてウェンド夫人が出てきた。


 「あら、レイラにライラ。こんにちは、さぁ入って。」


 姉妹はリビングに通された。


 「ちょうどクッキーが焼きあがったところなのよ。さぁ一緒に食べましょ。」


 リビングはバターの香りと、香ばしいクッキーの美味しそうな香りが充満していた。


 「今日の狩りはどうしたね?何かあったのかい?」

リュージンが尋ねた。


 「昨日、ママが来たんです。元気そうだったわ。」

「でも……。」

ライラが話しかけたところで制止するレイラ。


 「山へ行って、ママとバトンの狩りをしました。ママはとても上手。私達、付いていけなかったわ。」

「ほー。君達のママは狩りも達者なのかな?」

「うーん、技術の差です。」


 ウェンドがクッキーのバスケットとティーセットを運んできた。


 「すると、あの力の差ってことなのねライラ。」

「はい。ママには到底敵いません。」

「すぐに戻るって言っていたので、戻ってきたらお二人にも紹介しますね。」


 4人はバスケットを囲み、ティータイム。


 「ワンドルさんといい、私達には不思議な事ばかり。この先、そんな不思議な力を持つ人が増えるのかしら。」

「わしらが生きているうちはどうか知らんが、いずれそうなるのだろうね。」

「はい。この先50年もすればそうなるのではと思います。」


 姉妹は美味しいクッキーを堪能して、リュージン邸を出た。

まもなく陽が一番高くなる。姉妹はサンドラ邸に向かうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る