第111話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 31

 サンドラ邸リビング。


 すっかり自己紹介を済ませて、ミランダを交えてのディナーとなった。


 最初サンドラは、ミランダの包帯を巻いた左手首を見て心配したが、事情を聞き安堵していた。


 「私は一旦戻って、留守を任せたガムに報告してきます。またすぐに戻ります。」

「今度は川に出掛けましょうよママ。美味しい魚が獲れるの。」

「どこの川なの?」

「バリスタン山の周りを流れる川よ。ブリード川っていうの。」

「あらレイラ。ブリード川はこの時代から同じ名前だったのね。」


 食器を片付けながら姉妹が話している。


 「そうなのかい、ミランダさんの時代でもブリード川は残っているんだねぇ。」

「私は魚は獲りに行ったことはありませんけど。」

「捕れたての魚はすごく美味しいのよ。」

「サンドラさんの料理がとても美味しいのもあるわね。」

「じゃあミランダさんにも食べてもらわなきゃいけないねぇ。」


 姉妹がティーセットを運んでくる。

ミランダが姉妹にリンクした。


 「ムーブは使わないのね。……無理もないわ、この時代では魔術はないものね。」


  姉妹はミランダに目配せすると、お茶を淹れている。


 「サンドラさん。次に戻る時には色々荷物も持参します。今後しばらくお世話になります。」

「遠慮はいらないよ。言ってみればこの家は先の時代にはあなたの家なんだから。」


 4人は食後の団欒となった。ミランダがサンドラに尋ねた。


 「ところでサンドラさん。王城近くの闘技場の話は聞きませんか?まだそんな話はないかしら……。」

「あたしゃ王城の事は知らないんだよ。この子達にも聞かれたんだがね、遠いので行ったことはない。こんな田舎町じゃ話を聞けるかどうか……。そうさねぇ、町長にでも聞いてみたらどうかな?」


 お茶を飲みながら首を横に振るサンドラ。


 「私達でブレイン町長さんの所に行ってくるわママ。」

「ママが戻るまでに聞いておく。」

「ありがとう。ママは明日朝出るわ。お願いね。」


 今晩のミランダは姉妹の部屋で休むことにしたのだった。

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