第107話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 27

 現世の時代……。


 ミランダは三日三晩意識が戻らなかった。

手首の傷は塞がり、意識が戻るのを待つのみ。

ガムの他に魔導士達数人が看病に当たっていた。


 馬の蹄の音。ワンドルがやって来た。


 「ワンドル様。」

「ミランダは?」

「まだ意識が戻りません。」

「危惧するでない。落ち着きなさい。時期に目覚める。」


 ワンドルはミランダのベッドサイドに寄り添うとシンクロし、過去の時代の姉妹の意識を送った。

 バリスタンで狩りをする姉妹。サンドラと話している姉妹。リュージン夫妻に寄り添う姉妹。


 前回の薄紫色の時の回想……。

「ママ、繋がった。良かった……。わ、私達、必ず転移術式を習得してブレインラードに戻ります。それまで待ってて。」

「ママ、私も頑張る。約束よ。」


 うなされながら、ミランダが呟く。

「レイラ、ライラ。」


 ゆっくり目を開いたミランダ。

「ミランダ様。」

「ミランダ様、ご無事で……。」

「やぁミランダ。ご機嫌いかがかな?」

言うとワンドルは魔導士達に離れるよう促した。


 「ワンドル。私は?ここはどこ?」

一瞬の記憶の混乱か、ミランダ自身は状況を掴めていない。

「もう三日三晩お休みでしたよミランダ様。」


 「ガム、子供達はもう狩りに出掛けたの?……。……。はっ!ワンドル!私は、その後どうなったの?」


 記憶が混乱していたが、ミランダは自身の身体を確かめ、手首も確認していた。


 「稲光を浴びた後、気絶してしまったよ。三日三晩、意識が戻らなかったが安心した。もう大丈夫だ。」


 ワンドルやガム、離れて立つ魔導士達を見渡すミランダ。


 「それで、それで術式は?」

「習得したと思うがね。」

「では子供達の時代へ。」

 起き上がろうとするミランダ。それを制止するワンドル。


 「慌てるなミランダ。体調を整えてから私と試してみよう。今は少し休みなさい。」


 ゆっくり頷くガム。布団を掛けてやるワンドル。

そのまま部屋を出るワンドルに魔導士達が一礼する。


 「ミランダ様、もう少しお休みください。」


 ガムが言うと、ミランダはゆっくり目を閉じた。

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