第96話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 16
それから数日後の現世の時代……。
「やはりもっと詳しく知るには、魔導士協会本部まで資料の閲覧に出向かねばならないようです。」
「グランダの出現時期がいつなのか、やはりそれを知るのは困難のようね。」
「はい、ミランダ様。パイルグロスからダットロームまで出掛けても収穫なし。やはり王都へ入るのが近道かと。概ねブレインラードの歴史は知ることが出来ましたが、グランダに関する資料はありませんでしたから。」
ガムは過去の歴史とグランダに関する資料を求めて、パイルグロスからダットロームまで訪れてきたが、どうやら無駄足だった。
ミランダと話しているうち、王都にある魔導士協会本部の資料ならばという結論に至ったのである。
「ミランダ様。僕は王都に向かい、グランダ出現の時代を探ります。またしばらくの旅ですが、ミランダ様、ご無理なさらない様お過ごしください。」
「分かったわ。次の薄紫色の時、それまでに少し鍛錬しておきます。ガムはなるべく早く王都から戻って。こちらでも魔導士達の情報集めをして過ごすわ。」
翌朝、身支度を整えたガムは王都に出掛けていった。
ブレインラードの
ドアの外の様子を伺っている。
(ミランダも余計なお世話をしてくれたものだ。毎日交代で魔導士仲間が私の監視とはな。)
昼にはその監視の魔導士は交代して食事に離れるが、それ以外は2人でドアの横で立っている。
ワンドルは姉妹との会話を思い出していた。
(グランダが出現した頃、奴をしとめるだと?……それもよかろう。だが無駄足だとは思うが、考えたものだな。やはりマタスタシス=テクの習得の手助けは必要か……。真相を伝えて習得するのもよいかもしれんな。)
ワンドルはベッドに横たわり天井を見上げた。
過去の時代……。
「レイラ、バトンよ。そっと近づきましょ。」
「ほんとにすばしっこくて苦労するわね。」
姉妹は、いつもの狩場でバトンを見付けた。身をひそめながら徐々に距離を縮めていく。
「二人でバーストの魂で仕留めましょうライラ。」
「ちょっと待って。黒焦げにならないかしら。相手はラビンより小さいもん。」
「そうね、サンダーに変更。二手に分かれて両サイドから行きましょう。」
すばしっこく跳ね回るバトン。両サイドからサンダーで狙いを定め、姉妹は、高速で光の矢を放った。
飛び跳ねて避けようとするバトンに向かって光の矢を操ると、難なく仕留めることができた。
姉妹にとって、しばしっこいと聞いていたバトンも容易くしとめられた。ラビンと合わせてそこそこの収穫。
バリスタン山の狩場は、陽が傾いて、山菜採りの町人が引き上げていくのが見える。
「さてー。私達も下りましょうかライラ。」
「今日は初のバトンも捕ったし、ドミールさん喜んでくれるかしら。」
「雲の色が変わりそう。ひと雨降りそうね、急ご。」
山を下りて市場に向かう姉妹だった。
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