第93話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 13

 グアムスタンの雲は薄紫色に染まり、雷鳴と共に眩い稲光で巨人の槍はシルエットになっては元の姿に、を繰り返す。その見た目はまるで点滅をしているかのようだ。


 やがて巨人の槍にも幾つもの稲光が届いた。方々に長い影を落としている。

すると巨人の槍が光を纏ったまま輝き始めた。


 「ライラ、フルパワーでリンクをかけて!」

「分かってるーっ、お願いママー繋がってーっ。」


 姉妹は巨人の槍に両手を当てながら、フルパワーのリンクで挑んでいる。


 「ママ!聞こえるかしら?ママ!!」

「ママ、私達は元気です。答えてママーっ!!」


 

少し間が開いた直ぐあと、姉妹の心に、涙声が聞こえてきた。


 (レイラ、ライラ。元気な声を聞けて安心したわ。)

「ママ、繋がった。良かった……。わ、私達、必ず転移術式を習得してブレインラードに戻ります。それまで待ってて。」

「ママ、私も頑張る。約束よ。」

(ママも習得の為に頑張ってる。次の薄紫色の時が楽しみになってきたわ。二人共、サンドラさんの迷惑にならないように過ごすのよ。今日はここにいないけど、ガムも元気よ。)

「ワンドルさんに、無理しないで過ごされるように伝えて。」

「私もレイラと同じ想い。ワンドルさんが心配なの。」

(大丈夫よ、今日の事はちゃんと伝える。もう光が弱くなってきたわね、二人共頑張って。次を楽しみにしてるわ。)


 巨人の槍が纏っていた光が弱くなって、元の岩に戻った。

姉妹と現世のミランダは、ここで遂にリンクに成功した。


 姉妹は雨が止んでも、しばらく巨人の槍の前で立ちすくんでいた。2人は顔を見合わせると手を取り合って喜んだ。


 ポンチョを脱ぎながらレイラが言った。

「遂にやったわ。ママと繋がれた。どう?ライラ。」

「良かった、本当に良かった。」

「フルパワーはまだ大変だけど、ママと繋がれるならどうってことないわねライラ。」

「うんうん。まだ身体に応えるフルパワーだけど、ママと話せたのは何よりの喜びよ。」


 姉妹は息を切らして、半泣きだったが、その表情は達成感に満ち溢れていたのだった。

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