第92話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 12

 過去の時代、サンドラ邸。


 「いってきます。」姉妹の元気な声。


 「気を付けてお行き。雲には注意して移動するんだよ。ポンチョは持ったのかい?」

「大丈夫よサンドラさん。ランチを済ませたら雨に備えるわ。」

「岩の近くは何も無いけど、ポンチョだけで十分。」

「元の時代と繋がる事を祈ってるよ。」


 姉妹は、先ずラビンの狩場に足を向けた。

いつものコースは森の間の野原を抜ける。今の時期だけ、山菜採りの町人は小川に出てから森へと入っていく。

 この時代でも現世の時代でも同じ光景だった。

姉妹はそのまま上がっていき、狩場に到着する。


 リンクで話す姉妹。

 「ライラ、今日は町の人達が多い。術式を見られないようにしなきゃ。もう少し奥へ行きましょ。」

「そうね、分かっ…あ、ラビン!」


 狩場の奥に向かう前、ラビンを仕留めたライラ。


 「抜かりないわね。さ、もう少し行きましょ。」


 いつもの狩場より奥へ向かう姉妹。

 今日のグアムスタン山の雲は、やはり薄紫色のようだ。

今朝より僅かに色濃くなった雲間では、時折稲光が光ってきた。


 「この辺なら森からも見えない。ここで始めましょ。」

「今日は薄紫色の日みたい。今朝より分かりやすくなってきた。レイラも注意してて。」


 岩陰に隠れたり、身を屈めて様子を見ている姉妹。

 遠くにラビンを見つけると術式を使う。


 普段と変わらない収穫。

 姉妹がランチの頃には微かに雷鳴が聞こえるようになってきた。


 「レイラ、そろそろかしら。」

「うん、そろそろね。巨人の槍に向かいましょ。」


 姉妹はランチバスケットを片付けると、巨人の槍に向かうのだった。

 山菜採りの町人達は、雨を察して山を下り始めている。


 グアムスタン山の雲は、ますます雷鳴が響き渡り、稲光も激しくなってきた。


 巨人の槍近くに荷物を置いて、雨に備えた。

ポンチョを被り、巨人の槍に近付いていく姉妹。


 今日こそはと意気込む二人であった。

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