第91話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 11
現世の時代……。朝を迎えたミランダ邸。
「ふぅ。今日辺り、やっとグアムスタンの雲が変わりそうね。」
呟きながらドアを開けて外に出るミランダ。
グアムスタン山の方角を見に来た。
(やっぱり。薄紫色に変わりつつある。昼を過ぎたころね。)
遠く望むグアムスタン山の雲。
一度だけ稲光で雲間が照らされたがそれ以後は光らなかった。
ミランダは飼い葉桶を抱えて建屋隣りの馬小屋に入っていく。
バリスタン山の木々も近くの森も、黄色や橙色に染まり、朝日にとても映えている。
まもなくブレインラードは紅葉の時期。町の人達はこの時期だけは山菜を採りに山に上がってくる。
リビングに戻ったミランダ。
(昼過ぎまで山菜でも採って待つことにしましょ。……それにしてもガムはいつ戻るのかしら。)
暖炉に薪を置きながら考えるミランダ。
薪にバーストを使い火を点けた。
煙突から煙が上り始めた。
煙突の淵でさえずっていた小鳥たちが飛び立つ。
リビングでお茶をすすりながら考えているミランダ。
(あの子達、山へ上がる支度中かしら。なんだか1人でいると考え事が多くて駄目ね。)
ガムが出先から戻ってくるところ。
遠くにミランダ邸の煙突からの煙が見え始めた。
(ミランダ様はもう出掛けてしまったでしょうか。今日辺り、グアムスタンの雲が変わりそうですが。)
ガムは煙を見ながら呟いた。
かれこれ1月半、パイルグロスの更に先の町ダットロームまで足を向けたのだった。
朝日を背に受け、ガムの乗った馬は長く影を落としている。
ガムはミランダにリンクする。
「ミランダ様、ただいま戻りました。もうお出掛けでしょうか?……あ、まだ外出前でしたか、よかった。今日辺り、グアムスタンの雲の色が変わりそうです。」
「あら、ガム。そっちはどうだったの?戻ったら聞かせてもらう。グアムスタンの雲は今朝確認したわ。昼過ぎじゃないかしらね。」
「雲を確認されたんですね。分かりました、では戻ってから。」
ガムは馬を少し速足で進めた。
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