第86話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 6

 そして数日後、過去の時代……。

午後のフリップグロス。

バリスタン山の狩場でラビン狩りの姉妹。


 「レイラ、陽が傾いてきた。そろそろ市場に向かおうよ。」


 そこへワンドルがやって来る。

「おーい二人共―。」


 気付く姉妹はワンドルに駆け寄る。

「ワンドルさん。」久しぶりの対面、姉妹は目を輝かせた。


「取り急ぎすまないが、お前達のパワーを伝えておくれ。全ての術式の力を、区別なく送って構わない。」


 姉妹は、自身の持つ全てのパワーをワンドルに送った。

髪色が変わり、身体中にはオーラが纏う。


 ゆっくり頷きながら、

「よろしい二人共。……随分上達しているね。次は最大パワーでリンクを頼む。」


 変化した髪色はそのままに、ワンドルにリンクする姉妹。


 「ワンドルさん、私のリンクは巨人の槍でママと繋がれる?」

「ワンドルさん。ママと繋がれるまであとどの位のパワーが必要ですか?」


 至近距離での最大パワーのリンク。

かなりの意識と音量の強さだったが、ワンドルは平然と答えた。


 「次はシンクロの最大パワーを頼む。」


 姉妹は続けてシンクロのパワーを送った。

ワンドルの身体は姉妹のパワーによって震えている。

それでも平然と言った。


 「レイラ、ライラ。よく鍛錬しているね。パワーバランスが優れている。これなら数回の内。いや次回の薄紫色の雲のときには現世の時代と会話ができるかもしれんな。」


 姉妹は抱き合って、飛び跳ねながら喜んだ。既に髪色は元に戻り、普段の二人である。


 「これは現世に戻ったら直ぐに報告せねばな。」

「ワンドルさん、ママとは繋がりたい。でも他にも……。転移術式の習得にはどうしたらいいの?」

「ママとはいずれ繋がれると信じてる。頑張って鍛錬したもの。レイラの言う通り、マタスタシス=テクはグアムスタンまで行かなくてはダメなの?」

「現世とのリンクはもうじきだろう。お前達はマタスタシス=テクに頭が向いているのだな。……そうだな、私が思うに、薄紫色の雲の時に巨人の槍の横で全てのパワーを纏って待っていれば、稲光の力を授かると考えている。但し、失敗すれば命に関わる事にもなる。私はグアムスタンに出向いて稲光を浴びた。結果気絶してしまった。巨人の槍の側ではどうなるかは分からん。」

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