第84話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 4

 過去の時代……。

市場への用を済ませてサンドラ邸に戻った姉妹。


 「お帰り二人共。母親との連絡はどうだったね?」


 リビングでお茶中の3人、サンドラが尋ねた。

姉妹は表情を曇らせ、揃って首を横に振る。


 「ママには聞こえてなかったみたいでした。」

「でもママはサンドラさんによろしく伝えてと言ってました。」

「一度お目にかかりたいものだねぇ。ワンドルさんみたいに、あなた達の力で別の時代に行けるもんなのかい?」

「その術式を必ず習得して、戻らなきゃと思ってます。」

「レイラ、その術式ってのは何だい?」

「最初、不思議な力って言っていた魔術の事です。私達魔導士は術式と言っています。」

「実は、山でラビンを狩る時にも術式を使っていたの。まだ記憶が戻っていなくても少しは使えたらしくて。」

「最初はライラと不思議に感じていたけど、私達が魔導士だったというのは記憶が戻ってからの事です。」


 サンドラがカップにお茶を足しながら、

「ラビン狩りでその術式とやらを使っていたとはねぇ。腕の立つ猟師でさえ弓矢を使ってもなかなか仕留められるものではない、剣を使ったにしては腕がいいなと感じたものだったよ。なるほど、それなら合点がいくねぇ。」


 レイラが、暖炉の横の薪の小さなを持ってくると1つはライラに手渡した。

 姉妹は揃って指先からサンダーを使い、木っ端に傷を付けてサンドラに見せた。


 その後2人は立ち上がり、暖炉に向けてサンダーの小さな矢を放つ。バチバチっと火の粉が散った。

それを見てサンドラが目を丸くする。


 続けて今度は、木っ端の先にバーストを使い火を点けた。

暖炉に木っ端をくべると戻ってくる姉妹。


 「驚いたねぇ、開いた口が塞がらなかった。2人は本当に魔導士なんだね、感心したよ。……さてと、食事の支度をしようかね。」


 3人はキッチンに入っていった。


今宵もサンドラ邸にはいい匂いがし始めて、晩の食事の支度が始まった。

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