第83話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 3

 現世の時代……。

「ガム、行ってくるわ。まだ会話ができるとは思ってないけど……。で、この時代から何か伝えることはないかしら?」

「僕からは何も……。2人が無事でいただけで十分です。」

「そうね……。今は声を聞かせるだけで良しとしなきゃね。」


 そして過去の時代……。

既に巨人の槍に光が纏っている。


 姉妹は両掌を巨人の槍に添えていた。現世の時代から母ミランダのリンクが聞こえてくる。


 「レイラ、ライラ。聞いてるかしら。ママはこの通り元気よ。2人はどう?サンドラさんによろしく伝えてちょうだいね。」

「ママ、聞こえているわ。私達は元気でいます。」

「ママ、ママ聞こえる?」


 姉妹の呼びかけには、まだ母ミランダの反応は無かった。


 「まだ私達の声は届かないみたい。」

「そのようねレイラ。もっとリンクのパワーを込めなきゃ。」

「ライラ、焦らず頑張ろ。そのうちにママに届くようになるわ。」


 再び現世の時代……。

巨人の槍で最大値の力でリンクしているミランダの姿。


 「まだあの子達の声が聞こえてこない……。でも仕方ないわね、じっくり取り組んでレイラ、ライラ。」


 巨人の槍の光が薄れてくると、ミランダはそこを離れた。

 やがて雨が上がると、遠くグアムスタンの雲は白く変わった。


 ミランダ邸、リビングではガムがミランダの帰りを待っていた。

 ゆっくりとドアが開き、ミランダが戻ってきた。


 立ち上がるガムを見て、ゆっくり首を横に振るミランダ。

座りながら肩を落とすガム。


 「ガム、巨人の槍のリンクはまだ始まったばかり。あの子達にはじっくり取り組んでもらって、そのうちにリンクが可能になるわ。焦らず待ちましょ。」

「えぇ。2人が頑張ってくれれば、いずれ叶いますね。」


 両時代の家の煙突から煙が上り始めると、いい匂いが立ち込めた。晩の食事の支度が始まったのだった。

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