第81話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 1
現世の時代、ブレインラードに戻ったワンドル。
ミランダ邸に報告にやって来た。
「子供達は過去の時代、フリップグロスという町のサンドラという女性に後を頼んだ。この家は、その時代からここにあったよ。当時の家主がサンドラだ。」
「フリップグロスということは……、300年より以前の時代になりますね。」
「フリップグロス……。随分前の時代に行ってしまったのね。それで……先日のリンクでは、あの子達もその時代巨人の槍で聞いていたんですね。」
「あぁ。それで全ての記憶が戻ったようだ。ガムの事も思い出せたようだったさ。」
ミランダは感激で言葉にならない。涙を拭いながら、
「私も転移術式の習得を目指します。少しでも早く抱きしめてあげたい。あぁレイラ、ライラ。」
「魔術書は渡してきた、最後のページの事も伝えたうえでな。子供達はグアムスタンの雲が薄紫色になったら毎回リンクを試みる。会話ができるようになるまでそう遠くないさ。……してミランダ、私はしばらく休ませもらう。もう体力の限界かもしれん。」
かなり疲弊している様子が見て取れるワンドルだった。
「ワンドル、もちろん休んで構わないわ。しばらく麓で過ごして下さい。」
「あ、あのワンドル様、麓へ降りる前にお伝えしたい事が。」
「先日の巨人の槍の件ね。どうぞ伝えてガム。」
「はい。巨人の槍が輝く間、リンク、シンクロを最大限に使い、その意識をあらゆる時代の巨人の槍に同時にリンク、シンクロ出来る事が出来ました。一部の他の時代の巨人の槍周囲の音を確認しました。……特定の意識を掴む以外にも、別意識を同時に掴んで探ることが可能です。当然シンクロも可能です。この術式を、名付けてシンクロ=マタスタシス=リンク。」
自慢げなガムだ。
「それはすごいわねガム。でも巨人の槍に相手が存在しての話では?ちょっと利用価値に劣るわね。」
「えっ、そうでしょうか。」
「ははは。巨人の槍ありきということではそうなるな。」
「ワンドル様まで否定的……。」
「用法要領をよく確かめるわ、ガム。」
「僕の最大限の力で挑んだ結果なんですが……。」
ガムの示した術式は、あまり役に立たない術式のようで、ワンドルとミランダは否定的だった。
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