第76話 Memories Returned(戻った記憶) 3
狩りの支度を終えて、部屋から出てきた姉妹に声を掛けるワンドル。
「二人共、今日は狩りに付き合わせてもらうよ。さぁ行こう、案内を頼むよ。」
「さぁ、今日のランチは3人分。ワンドルさんも連れているんだし、陽が傾いたら早めに下りてくるんだよ。」
姉妹とワンドルは、バリスタンのいつもの狩場へと足を向けた。
バリスタン山の岩場がいつもの姉妹の狩場。
姉妹は狩りはそこそこに、ワンドルに普段の狩りの様子をあれこれ説明している。
姉妹はバーストとサンダーを使い、ラビンを仕留めた。
それを見てワンドルが感心している。
(記憶がなかった頃と今の子供達、同じ様に動けたのだろう。)
切り株に腰掛け、姉妹は倒木を切ってベンチにし、話していた。
「今度は私が見せてあげよう。」
そう言うと、バーストとサンダーを遠くに放った。
それを見て姉妹は目を輝かせた。
「パパも不思議な力を使えるのね。」
「私達と同じ力。ラビン狩り出来そうね。」
「パパ……か。」ワンドルは独り言のように呟き続けた。
「その事なんだが、話しておかなければならないことがある。先ずはグアムスタンの雲が変わったら、向こうに見える岩に行こう。明日辺り雲の色が変わるだろうとサンドラさんが言っていたからね。」
「わかったわ。明日は向こうの岩に行く。」
「稲光は怖いけど、ママの会話が聞けるなら行くわ。」
陽が傾くころ、山を下りて、姉妹だけで市場に足を向け、ワンドルはサンドラ邸に戻った。
リビングに通されているワンドル。
出されたお茶を飲みながら話した。
「遠い国へは行きません。何故なら私達は元々この地、この町で過ごしています。」
「この町?ここフリップグロスであなた達を知る者はいないがねぇ。それは本当なのかい?」
「えぇ。但し町の名前が変わってからの時代です。」
「なんだって⁉名前が変わってからの時代だって?するとこの先、フリップグロスではない時代から来たってのかい?」
「これも不思議な力の成す結果なのです。信じられないかも知れませんが事実です。違う時代を渡れるのは私のみ。子供達がこの地に来たのは、とある事故としか言いようがないですが、その際に一時的に記憶を失ったんだと思います。」
「なんだか雲を掴む様な話だねぇ。まぁ夕べ目の前から消えちまったのを考えれば納得もいくがね。」
しばらくの時間が過ぎ、姉妹が市場から帰ってきた。
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