第77話 Encounter(出会い) 4

 翌日、ついにその時がきた。

 今朝からグアムスタンの雲行きが変わり始めている。


 「昼までに酷い雨になりそうだけど、本当に山へ登るのかい?」

「えぇ。でも心配無用です。雨には打たれますが、それ以外は何の問題もありませんから。」


 傍らで姉妹が座っている。二人共少し震えていた。


「そろそろだろうから支度だよ。ポンチョを持ってお行き。」


 この時代、雨具は無い。有るのは、男女を問わず使用する、ろうでコーティングを施したフード付きのポンチョのみだった。


 サンドラから預かったそのポンチョを抱え、巨人の槍に向かっていく3人。

グアムスタンの雲の色はかなり薄紫色に変わってきている。


 巨人の槍が見えてくる頃には小雨が降りだしていた。


「二人共。ポンチョを被りなさい。雨に濡れないようにね。」

そう言うと、ワンドルもポンチョを被った。


 「この辺りで待とう。やがて岩に稲光が届く。」

ワンドルは何度となくこのタイミングを実行してきた。

「慣れないと稲光で眩しいだろう。気を付けて待っていなさい。」


 姉妹は寄り添って待っていた。雨が次第に強くなる。

雷鳴が一層激しくなってきたその時、巨人の槍に稲光が届く。


眩しく輝く巨人の槍。姉妹は一瞬目を閉じてしまったが、今日は前回と違ってしっかりと巨人の槍の様子を確かめられた。


 「さぁ、もういい頃だ。岩に近付くよ。」

姉妹はワンドルに促され、巨人の槍に向かい歩いて行った。

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