第70話 Pieces Of Memory(記憶のカケラ) 13

 市場を通り過ぎ、リュージン邸に向かう姉妹。

あとからワンドルがついていく。


 リュージン邸。

まだ陽が高いからか、リュージンはブランコに腰掛け本を読んでいた。そこへ姉妹が入ってくる。


 ワンドルは門の外で待つことにしたのだが、姉妹に気付かれない強さでリンクをかけて、様子をうかがうことにした。


 「こんにちはリュージンさん。」

姉妹は声を揃えて言いながら、土産のラビンを差し出した。


 「これはこれは。わざわざ届けに来てくれたのかい。」

「あの、奥様は?ラビンはすぐに仕込みに取り掛かれば、晩の食事で召し上げれますが。」

「今、中にいるよ、おーいウェンドー。」


 まもなくしてウェンドが出てきた。

キッチンにいたのかエプロンで手を拭いながら出てきた。


 「あら、二人共。こんにちは、さぁ椅子に腰掛けて。」

「ウェンド。2人が土産を持ってきてくれたんだよ。」

「あらまぁラビンね。ありがとう二人共。」

「ローはいつも気にしてたんです。今日はかなりローも頑張ったみたいで多く捕れたものですから。」

「残りはこれから市場に持っていきます。ウェンドさん、今のうちに仕込んじゃってくださいね。」

「ありがとうお二人さん。市場からまたここへ寄ってもらえんかな?少し話したいことがあるんだが?」

「いいですよ、リュージンさん。まだ陽が高いし。ね、構わないでしょアマ。」

「私は構わないわ、じゃ行きましょうか。」


 市場の帰りに、またここへくることにした姉妹は門を出て市場に向かった。入れ違いにワンドルが入ってきた。


 「こんにちは、リュージンさん。」

「おや、ワンドルさん。姉妹なら今しがた市場に向かって行きましたよ。」

「えぇ。それなんですが、私も同席させてよろしいですか?今の子供達との話は聞いていました。今朝は、バリスタンで話しかけようと思ったのですが、話し掛けるタイミングを逃してしまって。」

「ワンドルさんのお気持ちは察することができますわ。話し掛けるきっかけが無かったのでしょう。私がその役を引き受けますわ。2人を探して訪ねていらしたのだと2人に紹介します。」

「でもどこで今の私達の話を聞いていたと?」

「はい、これも不思議な力といいますか……。」

「その不思議な力の事も話さなきゃならないのでしょうね。あの子達、何か思い出せればいいけれど。」

「2人が戻るまで外を見てきます。ありがとうございました。」

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