第66話 Go Back In Time(時を遡る) 9
何度も繰り返す巨人の槍でのリンク。
その度に確かめる姉妹の意識は、それ以後はミランダやガムには全く感じられなかった。
とある日。グアムスタンの雲が薄紫色に染まった日の事。
巨人の槍に集う3人。度々行ってきたリンクが始まった。
「ワンドル、その後はどうですか?」
「ワンドル様、一度こちらへ戻られてください。今のこの術式について説明があります。」
「聞こえているよガム。今のこのリンクがどうしたのだ。いつもと何ら変わらんが。」
「ワンドル様。私自身、巨人の槍のエネルギーを利用して、この瞬間、あらゆる時代に同時にリンクしています。」
「何を言っているのかよくわからんなガム。おいミランダ。今日は子供達にメッセージを投げかけたらどうだ。母親たる気持ちを思う存分発してくれ。」
「言ってることがよく分からないのはワンドルのほうじゃない?」
「まぁいいからやってくれミランダ。」
ミランダは度々この機会には、姉妹の意識を探りながら、ため息ばかりが別の時代のワンドルに伝わっていた。
意味有り気なワンドルの言葉に眉をひそめながらも話した。
「レイラ、ライラ。ママです、聞こえていたら……聞こえていたら、どうか思い出して!」
「おやミランダ、それだけでいいのかい?もっと他に伝えたいことは?子供達が聞いていると思って話しかけてくれ。」
「そんなこと言ったって、あの子達、記憶を失くしているかもしれない……。ママだと分からないかもしれないじゃない。」
涙ながらにリンクで伝えるミランダ。
「よろしいミランダ、また会おう。」
巨人の槍の輝きが徐々に薄らいでいく。次第に薄紫色の雲は普段の雲の色に戻っていった。
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