第65話 Pieces Of Memory(記憶のカケラ) 9
ブランコに身を預けながらリュージンが語った。
「その昔。私がフリップグロスの町長に赴任したての頃になる。1人の旅人がやってきて、私を訪ねた。顔を合わすなり、この町には不思議な力を使う者はいないか。ここは平和なのか、魔物に苦しんではいまいかと言ってね。ここフリップグロスは当時から至って平和そのもの、魔物など見たこともないと返しましたよ。するとその旅人は庭の薪を手にすると、指先から光を
アマはリンクを使い話しかけた。
「ローがよく使う力と同じだわ。私達はその人と同じ不思議な力を持っているんだわ。」
「そのようねアマ。不思議な力の話、聞けて良かった。」
ブランコを揺らしながらお茶をすすっているリュージン。
「リュージンさん、話を聞けてよかったです。私達、バリスタン山で狩りをしていますが、今度、今日のお礼に獲物をお持ちしますわ。」
すると横で同じくお茶をすすっていたウェンドが話した。
「市場に新鮮なラビンを収めているのって、もしかしてあなた方お2人かしら?ドンバスが自慢げに話してたわ。」
「え、えぇ。たぶん私達です。」
「それはいい仕事をしてますね。妻の買い物は間違っていなかったってことになります。……いやね、いい肉が市場に並ぶようになったって言うもんですからね。それからというもの、我が家の食卓も華やいでいる。ウェンドの買い物をいつも楽しみにしているんですよお二人さん。」
「よろこんでリュージンさん、捕れたてをお持ちします。今日は色々お話を聞けてよかったです、感謝します。」
「こんな町外れでよければ、また来てくださいね。妻と待っています。」
「夫はご覧の通り、足を悪くしてあまり外に出ないので、お二人に来ていただければ、今度は食事も用意しますよ。で、サンドラはお元気かしら?」
その後少しの時間、皆、世間話で盛り上がったリュージン邸であった。
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