第59話 Go Back In Time(時を遡る) 6

 「そんな事が起こるなんて。今まで私達は雲の色が変わってきたら雨になるからと、ずっと避けてきた。山ではそんな事があるのね。」


 翌日、現世に戻ったワンドル。ミランダ邸にいた。


 「そこで確かめたいのだが、同じ時刻、現在と過去の巨人の槍の現象があるのだとする。輝いている間、岩のパワーを借りてリンク出来ないものかを確認したいのだ。」

「なるほど。ワンドル様は巨人の槍に蓄えられたエネルギーでこちらとリンクをとお考えなんですね。すごく名案です。」

「慌てるなガム。これには巨人の槍に稲光が到達しなければならない。グアムスタンから届いてもエネルギーを蓄えて輝くかどうかも分からん。そもそも同じ時刻に発生するかも疑問。」


 ミランダはお茶を運んでくると言った。

「グアムスタンの雲行きが変わるのは3日に一度位よ。」

「昨日は雲の色まで気にしていなかった。まさか巨人の槍に変化があるとはな。」

「それはある程度分かります。古い文献からですが、雲の色は薄紫色だと記された文言が多いですワンドル様。」

「ガム、それは当てになるのかい?」

「えぇ。ほとんどの文献に記され、その時の雨の量も1番だそうですので、雷鳴も稲光も一際ひときわなのだと思います。」

「そのタイミングで岩に触れてリンクを試みればいいのね。」

「巨人の槍の側に控えている事が大変ですが……。」


 ワンドルは過去の時代へ出掛け、ミランダとガムは交代に巨人の槍近くで野営した。


 何度となくグアムスタンの雲の色が変わったが、薄紫色に変わることはなかった。3人はひたすら薄紫色の雲を待つのだった。


 2ヶ月程経っただろう。グアムスタンの雲が薄紫色に変わってきたのだ。


 慌ててミランダにリンクで伝える。

 まもなくしてミランダも巨人の槍の側にやってきた。


 「ミランダ様。雲が薄紫に変わってきました。」

「いよいよ確認出来る。稲光が届いて光るまで待ちましょう。」


 やがて雲は、色味が薄紫色にはっきりとしてきたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る