第60話 Go Back In Time(時を遡る) 7

 (ようやく目当ての雲行きにお目にかかれそうだ。2ヶ月程経ったのか……。これも子供達の為、やむを得まいな……。)


 ワンドルは別の時代、現世と同じ時節。フリップグロスの市場と巨人の槍を行き来しながら、その時を待っていたのだった。


 グアムスタンの雲は、薄紫色に変わってきている。

巨人の槍近くで野営を続け、ようやく日の目を見る格好だ。


 (ガムが語っていた通り、薄紫色は正しいようだ。)


 激しい雷鳴が轟き、稲光は巨人の槍の長い影を麓方向に伸ばしている。

まもなく雨が降り始め、雲は薄紫色に染まる。雷鳴は一層激しくなり稲光はバリスタン山を照らし出す。


 テントの中から巨人の槍を注視しているワンドル。


 一方、現世の時代でも、ミランダとガムがその時を待っていた。


 「ミランダ様。巨人の槍は光をまとうのでしょうか?」

「多分、グアムスタンからの稲光が巨人の槍に届くんだわ。見届けましょうガム。」


 まもなくすると、激しい雷鳴が轟き、稲光は巨人の槍を照らし出した。雲の色の薄紫色が徐々に広がってきていた。


 「まもなくだと思いますミランダ様。」


 目が眩む程の光で、二人は顔を伏せてしまう。

その時、巨人の槍にまで届いた稲光は、岩全体に広がり吸収されると、輝きを纏った美しい表情を見せていた。


「ガム!巨人の槍が輝いている。稲光を吸収した。さぁ近づきましょう。」


 巨人の槍に恐る恐る近づく二人。


 輝く岩は二人をシルエットに変え、依然としてその姿は変わらずにいた。


 「ミランダ様。」

「ええ。ワンドルの意識を感じてみましょう。」


 二人は巨人の槍に触れながら、最大限のリンクで探り始めた。


 一方のワンドルも同様にして現世を探った。

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