第56話 Pieces Of Memory(記憶のカケラ) 5

 その日の夜のこと。

 アマのバッグの中にあるグランダの爪が光りだしていた。

 薄青い光が、革のバッグからこぼれている。


 心での会話が始まった。

「アマ!バッグを見て。」

「爪がまた光ってる。痛たた。頭が痛いわ。」

「私も。痛たたたー。」


 すると姉妹の脳裏にはフラッシュバックが起こる。

それは、姉妹とガムの術式の鍛錬の様子だった。ガムの声もあったが姉妹には聞こえてこなかった。


 しばらくすると爪の光は消えて、姉妹の頭の痛みも治まった。


 「ねぇアマ。今、また見えた。今回はあなたともう一人。」

「私も同じ。ローともう一人、男の人だったわ。」

「これも私達の記憶なのかしら……。」

「ローとラビンを捕まえる時と同じ、不思議な力を使ってた。」

「その男の人に私達の力を見てもらってるみたいだったわね。」

「誰だったんだろう……思い出せない。」

「爪はまた光るわ。きっとその時、また同じように何かを見られるわよ。注意しておきましょう。」

「そうね、そうしましょう。頭の痛みが、前よりひどくない。これも何かあるのかしら。」

「うん。それはさっきも感じたわ。思い浮かんだ映像は音が聞こえないのよね。少しでも音を感じられればと思うのに。ローは何か気になることはない?」

「私もアマと同じ。すごく音が聞きたいわ。さっき見た男の人だってそうよ。何か話してたもの。」

「そうよね。音まで聞こえてくれれば、何か思い出せそうな気がするわロー。」


 話を終えると姉妹はそのまま眠りについたのだった。

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