第55話 Pieces Of Memory(記憶のカケラ) 4

 パイルグロスの町。馬を引きながら歩いている姉妹。

 陽は高くなっても、姉妹に声をかけてくる人はいなかった。

それでも二人は町の中を歩いていた。


 「ローの不安的中って感じ。誰とすれ違っても反応なし。なんか気がめいってきたわ。」

「アマ。やっぱり私達、この町とは無関係なのかもしれないわ。少し市場にでも行ってみる?」

「そうね。場所を尋ねて向かってみようか。」


 姉妹は町の人に市場の場所を聞くと、足を向けた。


 パイルグロスはフリップグロスより小さな町で、市場の規模も小さかったが、人出は多い。


 人々は二人を見ても無反応。


 「これだけの人なのに、声をかけられない。無駄足だったようね、ロー。」

「少し期待しちゃったけど、諦めるわアマ。」

「もうフリップグロスに引き返しましょうか。」


 姉妹は来た道を引き返すことになった。

 パイルグロスの市場で食料を調達してから町を出て、二日と半日馬を走らせ、ようやくフリップグロスに戻ってきたのだった。


 夜のサンドラ邸。姉妹は町長に馬とランプを返却して戻ってきた。

サンドラにパイルグロスでの経緯いきさつを話し落胆している姉妹。


 「残念だったね二人共。……あなた達はいったいどこの町から来たのかねぇ。……バリスタン山の向こう側には町は無し。かと言ってフリップグロスやパイルグロスではなさそう。これはあなた達の記憶が戻るまで待つしかないのかもしれないねぇ。」

3人で食事の支度をしながら話すサンドラ。


 姉妹は食事が終わるまで終始無言だった。

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