第46話 Another World(異なる世界) 8

 ある日の朝。

 サンドラが身支度をしている。テーブルで朝食を摂っていた姉妹が話しかけた。


 「サンドラさん、今日はお出掛けですか?」

「私達も何かお手伝いしましょうか?」

「今日はバリスタン山まで山菜採りに出掛けるわ。あなた達も一緒に行く?」

「はい、ご一緒します。」

「もちろんお手伝いしますサンドラさん。」


 いつも姉妹が狩りをする場所から、更に林道を歩いてバリスタン山の中腹まで登ってきた。


 「さて始めようかね。私の採った山菜と同じ物を出来るだけ多く採っておくれ。」


 サンドラは地面にシートを広げ荷物を置くと、山菜採りに取り掛かった。

 姉妹は、サンドラが戻ってきて並べられた山菜を確認すると、めいめいに動き始める。


 陽が高くなった頃には、サンドラはシートにバスケットと水筒を並べている。


 「2人共―、そろそろランチにしようかねー。」


 姉妹はサンドラの声に気付き、荷物を置いたシートの所に戻ってきた。


 「山菜採りって大変ねサンドラさん。」

「これは狩りをするより大変よアマ。」

「サンドラさん。向こうに見える雲の塊は何ですか?」

「あぁ、あれかい。あれはグアムスタン山と言う山さ。このバリスタン山より高い山でね。年中雲がかかっているよ。時折ネズミ色の雲に変わるとものすごい稲光が起こるのよ。」

「私も気になってた。雲の中に山が隠れてるのね、不思議―。」

「はい2人共、ランチの後ももう少し頑張ってもらいますよ。さ、どうぞ召し上がれ。」


「……なんだか懐かしい感じ。前にもよくこうしてランチをしていた気がするの。」

「私もよロー。懐かしいってこんな気持ちなのかしら。」

「それはもしかすると、2人の記憶なのかもしれないよ。あなた達の親御さんとピクニックにでも出掛けて、その記憶かもしれんね。何か思い出せればいいね。」

「記憶……パパやママと出掛けて、似た様な経験をしたのかなぁ。懐かしい感じはその記憶があるから?」

「アマの感じてる通りかもしれない。でも思い出せないわ。」

「さあさあ。早いとこ済ませて続きを始めるよ2人共。」

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