第45話 Another World(異なる世界) 7

 深夜まで裁縫をしていたサンドラ。

 テーブルの上には真紅のリボンと、黄金色のリボンが置かれていた。


 朝、起き出した姉妹は、キッチンとリビングのストーブに火をべてから椅子に座った。


 「アマ、見て。素敵なリボンね。」

「えぇ。とても綺麗。」


 そこへサンドラが起きてきた。

 「2人共、おはよう。リボンに気が付いた?それは私からのプレゼント。古くから伝わる神の刺繍ししゅうもしてあるのよ。2人の見分けがつかないと皆んな困るわ。短剣のストーンに合わせて色を選んだの。名案でしょ?さぁ髪を結って、リボンを結んで出掛けるといいわ。」


「ありがとうサンドラさん。これならドンバスさんも私達の区別が付きそうね。」

「うんうん、ロー。きっと市長さんにも分かってもらえるわ。」

「私は何となくだけど、2人の区別が付いてきたわ。でも町の人は区別出来ないもの。名前とリボンの色が同じなら誰でも区別出来るでしょ。」

サンドラは姉妹に微笑んだ。


 山へ登り、狩場で狩りをする。やがて陽が傾き始め、森から降りてくる姉妹。


 「サンドラさん、市場に行ってきます。」

「あら、相変わらずいい獲物じゃないか。2人共頑張ってるね。晩ご飯までには帰っておいで。」


 やがて市場にやって来た2人。


「ドンバスさん、これから私はローと名乗ります。」

「私はアマ。よろしくお願いします。」

「ほう、サンドラのプレゼントかね。……赤いリボンがロー、黄色いリボンがアマ。なるほど考えたな。これからはそう呼ばせてもらうよ2人共、これで2人の見分けがつくな。いい獲物が届く様になって、町長さんもご機嫌だし、町の皆んなも獲物を期待してやって来る。これからもよろしく頼むよ、ロー、アマ。」

「ありがとうドンバスさん。今後ともよろしくお願いします。」

そう言って姉妹は市場をあとにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る