第44話 Another World(異なる世界) 6
翌朝……。
「さあ今日のランチよ。昨日のラビンのサンドイッチ。ラビンの肉は冷めても美味しく食べられるわよ。」
「ありがとうサンドラさん。じゃあ行ってきます。」
「陽が傾いたら下りてくるのよ。」
「はい。」
姉妹は昨日と同じ森に向かった。
今朝の市場では……。
「やぁドンバス。元気かい?今日は頼みが有って来たんだ。今、サンドラの家に
「最近は肉がなかなか入ってこない。ちょうどいいよ町長。」
「じゃドンバス、頼んだよ。」
陽が傾くと、森から姉妹が下りて来た。
出迎えたサンドラが見える。
「サンドラさーん、ただいまー。」
「あら、今日はラビンが6匹!……ついでにこのまま市場に行きましょうか。」
3人は市場に足を向けた。
「やあサンドラ。今朝町長から話は聞いてるよ。……ほう、この子達かい。」
「ほら2人共、この人は市場の主任でドンバス。獲物を持って来たら彼に買い取ってもらうといいわ。」
「初めましてドンバスさん。」
姉妹は声を揃えて挨拶した。
「えーと2人の名前は?……あぁ失礼した。まだ記憶が戻らなかったもんな。よく似た2人だ。記憶が戻るまで、何か可愛いあだ名を名乗ったらどうかな?」
「そうねドンバス。私も何て呼んだら、どうしようかと思っていたのよ。どう2人共、あだ名を名乗ったら?」
「サンドラさん、あだ名とは何でしょう?」
「えーとそうさねぇ、仮の名前ってとこかしらね。」
姉妹は顔を見合わせ微笑んだ。
その日の晩ご飯を終えたサンドラと姉妹はテーブルでお茶を飲んでいた。
サンドラが姉妹に言った。
「あなた達に似合う可愛いあだ名を思いついたわ。赤いストーンの短剣を持つあなたはロー。黄色いストーンの短剣を持つあなたはアマ。どう?可愛い名前でしょ?」
「ロー?」 「アマ?」
姉妹は不思議そうに顔を見合わせている。
「私達の言葉で、ローは赤。アマは黄色って意味なのよ。」
「私はロー。」 「私がアマね。」
「ありがとうサンドラさん。可愛い名前、気に入りました。」
「私も気に入りました。ありがとう。」
こうして姉妹にニックネームが付けられたのだった。
翌日も姉妹は森に向かい、狩をして、サンドラと市場に向かった。
「ドンバス。この子達の獲物を頼みますよ。……あ、そうそう。赤いストーンの短剣の子がロー。黄色いストーンの短剣の子がアマよ。これからはそう呼んであげてくださいな。」
「おいおいサンドラ。急に言われても俺にはストーン以外にこの子達の見分けが付かないよ。」
「あら、そうね。それも少し考えてみるわドンバス。」
その日の晩。姉妹が寝付いてから、サンドラは何か裁縫を始めたのだった。
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