第31話 Hint(ヒント) 1

 ガイラの死後、しばらく経ってミランダが到着した。


 無惨なガイラの姿にミランダはしばらくの間泣き崩れていた。

その後魔道士達の手によって、ガイラは家の近くに葬られた。


「レイラー!ライラー!」


姉妹がいない。ブレインラードの街をリンクで探ったが見つからなかった。

「ガムの所に向かっていれば良いのだけれど……。」


 ガムの元にガイラの死が伝えられたのは、ガイラの死から数日後だった。

 ミランダが向かわせた魔道士がガイラの死を伝えたのだが、併せて姉妹の無事も確認する様に命ぜられていた。


 「ガム殿。して、娘様達はここにいらっしゃらないと?」

「姉妹はここへは来ていない。ミランダ様は他に何と?」

「ガム殿の力を借りたい故、ブレインラードにお越しをとの事です。」

「分かりました。至急向かいます。」


 一方ガイラの家では……。

 「グランダの爪を持ち出してる……。レイラ、ライラ。一体何処どこへ……。ガムの所に居れば良いのだけれど……。」


 陽が暮れた頃、ガムが到着した。姉妹は一緒ではない。


 リビングのテーブルでは、ミランダが呆然ぼうぜんとしていた。

 「はっ……。馬一頭の蹄の音……ガムの意識だけ……。いったいあの子達は何処へ……。」


 ドアをノックしてガムが入ってきた。

「ミランダ様……。」


 灯りも点けずに座っているミランダを見て察したのか、

「ミランダ様。レイラとライラは何処へ?」

「ガイラに同行していた魔道士の話では、グランダが死ぬ間際に術式を使ったと。……マタスタシス=テク、クルスオブメモリーロス……。」

「て、転移術式……。しかもグランダは記憶を消し去る術式まで得ていたのか。」

「転移術式。話には聞いた事があるわ。別の世界へ転移させる、又は自らが転移可能な究極の術式……。まさか、あの子達が?」

「仲間の話が本当なら、2人は転移させられた事になります。」

「そ、そんな。ガムはその術式を知っていたの?」

「僕も話を耳にしてから、研究はしていましたが、かなりのパワーが無いと習得出来ない術式です。もし2人共転移させられたとしても、クルスオブメモリーロスを併せて使ったとなると……。」

「記憶を消し去る術式……。2人共転移先の世界では記憶を失っている?」

「いえ、現段階ではそうとも言い切れませんが。」


 ミランダは思い切りテーブルを叩いた。


 「落ち着いてくださいミランダ様、お気を確かに。とにかく対策を考えましょう。私達のいる世界にいるかも知れません。先ずはそこから確認を。」

「ごめんなさいガム。取り乱してしまって……。分かりました。私の力の限りでリンクしてみます。」

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